Rigetti Computing、量子ゲート誤差率を大幅改善 — AI応用への道を切り開く可能性
概要
量子コンピュータとAIは密接に関わり合う技術であり、一方の進歩がもう一方を押し上げることも多い。2025年7月16日、Rigetti Computing（NASDAQ: RGTI）は、36量子ビット（qubit）システムで2量子ビットゲートの中央値フィデリティ99.5％を達成したと発表。これは従来の84-qubit「Ankaa-3」システムの誤差率を半減させる成果となった。
技術的意義
- 量子ビット（qubit）：0と1の両方の状態を同時にとれる、量子計算の基本単位。
- 量子ゲート：qubit間で演算を行う基本構成要素。
- 99.5％フィデリティ：2量子ビット演算の結果が99.5％正しい（1,000回中5回の誤り）ことを意味する。
誤差率の低下は量子コンピュータの実用化に不可欠であり、特に精密な計算を必要とするAI分野では大きな意味を持つ。低誤差化により、より長時間の計算や多くのゲートを使用でき、大規模AIモデルの訓練・運用が可能になる。
次のステップ
- Rigettiは2025年末までに100量子ビット超のシステムで同等の誤差率を達成予定。
- 半導体産業の技術を応用し、高qubit数へのスケーリングを目指す。
- 実用的アプリケーションには誤差率を100万回に1回以下（場合によっては10億回に1回以下）まで下げる必要があるため、まだ道半ば。
投資家への影響
- 発表後、株価は急上昇し、過去3カ月で約80％上昇。
- ただしRigettiは未だ赤字で競争も激しいため、長期的な勝者になる保証はない。
- リスク許容度の高い投資家には魅力的だが、保守的な投資家には投機的すぎる可能性。
総評
今回の成果は、量子コンピュータの商用化とAI活用への重要な一歩。ただし、実用レベルの誤差率達成には更なる技術革新が必要であり、企業としての将来性もまだ不確定要素が多い。
