
AIは速い — しかし量子AIは「止められない」存在に?
— IBM、量子コンピュータとAIの両輪で次世代市場を狙う —
概要
最新のAIモデルは強力だが、学習や推論には膨大な計算資源が必要。特に学習段階は時間もコストも莫大で、現在はデータセンター規模のGPUクラスターが必須。将来的に量子コンピュータが実用化すれば、AIの計算速度と効率は飛躍的に向上する可能性がある。
IBMの量子コンピュータ実績とロードマップ
- 1998年:量子原理を用いた初の計算機デモ(H・Cl原子でリストソート)
- 現在:100+量子ビット超のシステムを運用
- 2027年:1,000量子ビット超
- 2029年:大規模耐障害型システム完成予定
- 2033年:2,000量子ビット超
- 量子コンピュータ関連ビジネスで累計約10億ドルを既に創出
- 2021年:特定の機械学習分類問題で指数関数的高速化を可能にする量子アルゴリズムを開発
量子AIがもたらす可能性
- AI学習の高速化:膨大なデータ処理を短時間・低コスト化
- 推論精度の向上:より良い結果を高速に生成
- 幅広い応用領域:医療、材料開発、最適化問題などAI適用範囲の拡大
IBMの強み
- 量子コンピュータ分野での数十年の研究実績
- 企業向けAI事業の成功(生成AI関連で75億ドルの受注)
- watsonxプラットフォーム+コンサルティングによる包括的AIソリューション
- 将来的にAIと量子コンピュータを統合し、**「量子AI時代」**の中核プレイヤーとなる可能性
総評
IBMは派手さでは他のビッグテックに劣る印象があるが、AIと量子コンピュータの両分野で長期的な強みを蓄積している。量子技術が成熟しAIと融合すれば、IBMはその最前線に立つ可能性が高い。