
NASAが開発 ― 超耐熱3Dプリント金属「GRX-810」誕生
NASAグレン研究センター(オハイオ州)が新たに開発した金属合金 GRX-810 は、ロケットエンジンなどの極限環境に耐えることができる画期的な3Dプリント用素材です。従来は高価な合金しか選択肢がなく、コストや加工性に制約がありましたが、GRX-810により 安価かつ高性能なエンジン部品の製造が可能 となりました。
🧪 GRX-810の構造と特性
- 主成分:ニッケル、コバルト、クロム
- 技術的特徴:酸化物分散強化(ODS)合金
- 製法:
- 金属粉末とナノ酸化物粒子を「共振音響混合法」で均一にコーティング
- 各粒子が強固に結合し、再利用してもODS特性が維持される
- 耐久性:
- 2,000°F(約1,093℃)の高温下でも1年間持続
- 一般的な合金では数時間で亀裂が入る条件下でも長期使用可能
⚙️ 実用化の進展
- 製造企業:コロラド州の Elementum 3D がNASA特許の共同ライセンスを取得し、少量から1トン規模まで量産化。
- 成果:大規模生産版は小規模試作品よりも寿命が2倍に延長。
- 応用例:
- 宇宙産業:ロケットエンジン部品
- 航空産業:燃料流速を測定するフローセンサー
- 従来は数分で焼損 → GRX-810で長寿命化
- 結果として 燃費向上・排出削減・部品交換コスト削減 が期待
🚀 意義
- NASAと産業界の共同開発モデル:宇宙開発と民間市場の双方にメリット。
- 新素材革命:従来の製造法では困難だった複雑形状の高耐久部品が3Dプリントで実現可能。
- 波及効果:航空・宇宙にとどまらず、エネルギー・製造・自動車産業など広範な応用が期待される。