
SpaceX、スターシップ第10回試験飛行に成功 ─ 月面着陸計画への大きな一歩
打ち上げ成功と飛行の成果
2025年8月26日、スペースXはテキサス州スターべースからスーパー・ヘビー–スターシップを打ち上げ、これまで3連続で失敗していた試験飛行を覆す形で大きな成功を収めた。
- スーパー・ヘビー(第1段)は上昇後、予定通りテキサス湾沖に着水。降下エンジンの1基を意図的に停止する試験も行われたが、姿勢を維持して着水に成功。
- スターシップ(上段)は軌道到達に近い軌道飛行を実現。
- スターリンク模擬衛星8基を展開
- 再点火試験に成功
- 大気圏再突入では耐熱タイルと新制御システムを検証
最終的にインド洋に計画通りのパワードスプラッシュダウンを達成。再突入時にはエンジン周囲のスカート損傷やフラップ部分の溶融が見られたが、制御性能に影響はなかった。
NASAと月面計画への影響
この成果はスペースXにとって大きな前進だが、NASAの2027年有人月面着陸を見据えると課題は多い。
- 月面着陸用スターシップは軌道上補給が必須で、1回の月ミッションには10〜20回のタンカー打ち上げが必要。
- 超低温推進剤の「ボイルオフ(気化)」問題の克服も不可欠。
- 16階建てに相当する巨大ロケットの月面着陸の安定性や、地表100フィート(約30m)下に宇宙飛行士を降ろす仕組みなど、安全性の懸念も残る。
NASAや関連企業の関係者は「2027年の有人着陸は現実的ではない」と口を揃える一方、長期的には十分可能と見ている。
今回の試験の意義
- スペースXの技術信頼性を回復
- 衛星展開や再突入の実データを獲得
- 世界最強ロケットとしての存在感を再確認
- 米中の月面到達レースにおける米国側の大きな弾み
結論
今回の成功は、スペースXとイーロン・マスクにとって大きな追い風だが、月面着陸までの技術的ハードルは依然として高い。
2027年までに実現するかは極めて難しいとの見方が強いが、長期的には火星探査や月面基地建設に不可欠な技術基盤を築く試験であったことは間違いない。