インターステラ―彗星「3I/ATLAS」をめぐる新研究まとめ

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By arigato_team

インターステラ―彗星「3I/ATLAS」をめぐる新研究まとめ

インターステラ―彗星「3I/ATLAS」をめぐる新研究まとめ

🌌 発見と起源

  • 発見日:2025年7月1日、ATLAS(Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)による。
  • 特徴:太陽系外から飛来した3つ目の天体。速度は時速21.9万km(約13万マイル)。
  • 起源:銀河の厚い円盤(thick disk)に属すると見られ、年齢は70億年以上の可能性。これは太陽や地球より25億年以上古い。

☄️ 科学的意義

  • 厚い円盤起源であれば「宇宙正午(Cosmic Noon:星形成のピーク期)」の物質を直接調べられる。
  • これは太陽系外に行かずとも、初期宇宙の物質を間近で分析できるまたとない機会。
  • 例えるなら「太古の冷蔵庫が開いて、中身を見られる瞬間」。

🔭 観測上の課題

  • 太陽に最も近づく**近日点(perihelion)**のタイミングで、地球からは太陽の裏側に隠れてしまう。
  • そのため地上望遠鏡(ATLAS・Vera Rubin・ハワイ/チリ/南アフリカ)やJWST・Hubbleは観測できない。

🛰️ 有望な探査機

  • ESA JUICE(木星氷衛星探査機):金星スイングバイ後に最適な観測位置へ。近日点付近で最重要データを期待。
  • NASA Psyche:小惑星帯へ向かう途中で接近(約4,500万km)。
  • 火星探査機群(MRO・天問1号・HOPE):最接近は約2,900万km。
  • SOHO・PUNCH・パーカー・ソーラー・プローブ:太陽近傍で活動を監視可能。

🧪 研究のチャンス

  • 探査機が彗星の**尾(tail)**を通過する可能性 → 質量分析で成分解明へ。
  • 彗星の破片が地球や火星で流星群として観測される可能性もある。

📈 希少性と将来展望

  • これまでの観測例:ʻOumuamua(2017年)、2I/Borisov(2019年)のみ。
  • Hein研究者は「厚い円盤由来の天体は数十年〜数世紀に一度の機会」と強調。
  • 今後はVera Rubin天文台の広域観測で新たな発見も期待されるが、3I/ATLAS級の古代天体は極めて稀。

✨ まとめ

3I/ATLASは、人類がこれまでに観測した中で最も古い可能性のある彗星
近日点での観測は地球から不可能だが、幸運にも配置されている探査機群が、その「太古の冷蔵庫の中身」を解明する役割を担う。
科学者たちは「一生に一度のチャンス」と表現しており、この観測は宇宙の歴史解明に直結する可能性を秘めている。


参考記事

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