
🛰️ まとめ記事:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた三重連星の輝き
出典:Keith Cooper(Space.com, 2025年9月発表)
🌌 壮大な舞台 ― ロブスター星雲とピスミス24星団
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が撮影したのは、さながらファンタジー作品のワンシーンのような光景。しかしこれは実際の宇宙の姿であり、**地球から約5,500光年離れた「NGC 6357(ロブスター星雲)」**に位置するピスミス24星団の一部だ。
この星雲は分子水素ガスを主成分とする巨大な星のゆりかごで、内部では若くて高温・大質量の星々がガスを削り取りながら誕生を繰り返している。
🌟 ピスミス24-1 ― かつて「最大の恒星」とされた存在
画像の中でも特に輝きを放つのはピスミス24-1。かつては太陽の300倍もの質量を持つ単独恒星だと考えられていた。
しかし2006年のハッブル望遠鏡観測で、これは三重連星系であることが判明。
- 1つは太陽の66倍の質量
- 残り2つは互いに接近した分光連星で、各星が太陽の約36倍の質量
いずれも約100万年後には超新星爆発を迎えるほどの大質量星である。
🏔️ ガスの尖塔 ― 星を生み出す巨大スパイア
JWSTの近赤外線カメラ(NIRCam)が捉えた映像には、星雲の空洞内部の「山脈のようなガスの尖塔」が映し出されている。
- 最大のスパイアは高さ5.4光年
- 先端部分だけで太陽系を200回収められる規模
このスパイアの内部ではガスが重力崩壊を始め、新たな星の誕生が進行中。やがて新星が生まれ、ガスを内側から浸食していく運命にある。
🎨 色と光が描く「宇宙の幻想絵巻」
JWSTは赤外線を可視化するため擬似カラーで表現している。
- シアン=高温で電離したガス
- オレンジ=微細な塵
- 赤/黒=冷たく密度の高い分子水素ガス(最も密な部分は光を通さず黒に)
さらに白い霞のように見える部分は、水蒸気ではなく、星の放射線によってガスや塵が蒸発し散乱光を生む現象だ。これが幻想的な「霧の山並み」のような景観を作り出している。
✨ 意義とインパクト
この一枚は、宇宙のスケールと美しさを同時に示す傑作だ。
- 星雲内で進行する星形成のダイナミズム
- 大質量星の誕生から終焉までの壮大なライフサイクル
- JWSTの観測力が描き出す人類未踏の宇宙像
ピスミス24-1の三重連星は、単なる天体観測の対象を超え、宇宙が「常に生まれ変わり続ける劇場」であることを私たちに教えている。