以下は、記事 「Nobel physics prize awarded to U.S.-based trio for discoveries in quantum mechanics」 のまとめです。

🏅 ノーベル物理学賞、量子力学の発見で米国拠点の3人に授与
2025年10月7日、スウェーデン王立科学アカデミー は、
ジョン・クラーク(John Clarke)氏、ミシェル・H・ドゥヴォレ(Michel H. Devoret)氏、
ジョン・M・マルティニス(John M. Martinis)氏 の3名に
2025年のノーベル物理学賞を授与すると発表しました。
受賞理由は、
「量子物理学が実際に働く様子を実験で示した功績(experiments that revealed quantum physics in action)」
とされています。
⚛️ 量子力学を“現実世界で見せた”功績
3人の研究は1980年代に行われたもので、
超伝導体で構成された電子回路を使い、
量子力学の原理が日常的な物質にも影響を及ぼすことを実証しました。
この発見は、現在進行中の量子コンピューター、量子暗号、量子センサーなど、
「次世代量子テクノロジー」の基礎を築いたと評価されています。
ノーベル委員会のオッレ・エリクソン委員長はこう述べています:
「100年以上の歴史を持つ量子力学が、いまもなお新しい驚きを与え続けているのは素晴らしい。
そして、それは同時に非常に実用的でもある。量子力学はすべてのデジタル技術の基礎なのです。」
👨🔬 受賞者たちの背景とコメント
John Clarke(ジョン・クラーク)氏
- 英国出身(83歳)
- 米カリフォルニア大学バークレー校で研究
- 受賞を「人生最大の驚き」と語り、共に受賞した2人の功績を称賛
「私たちの発見は、ある意味で量子コンピューティングの基礎です。」
「携帯電話が機能しているのも、この研究の成果の一部です。」
Michel H. Devoret(ミシェル・H・ドゥヴォレ)氏
- フランス出身
- イェール大学およびGoogle Quantum AIの主任科学者
- 量子電気回路と量子ビット(qubit)の研究で知られる
John M. Martinis(ジョン・M・マルティニス)氏
- アメリカ出身
- カリフォルニア大学サンタバーバラ校で研究
- Googleの量子コンピューティングチーム初代リーダーを務めた経歴を持つ
🔬 意義と時代背景
この3人の成果は、量子現象を“理論の世界”から“応用の世界”へ押し上げたもので、
現代の量子コンピューター開発の礎となっています。
受賞はまた、
「量子テクノロジー時代」への進化が本格化している象徴的な出来事でもあります。
なお、昨年(2024年)の物理学賞は、
人工知能(AI)研究の先駆者ジョン・ホップフィールド氏とジェフリー・ヒントン氏が受賞しており、
2020年代のノーベル物理学賞は「デジタル革命の科学的基盤」を讃える傾向が続いています。
🧭 関連情報:他分野の2025年ノーベル賞
同週には、以下の研究者らがノーベル生理学・医学賞を受賞しました:
- メアリー・E・ブランコウ(Mary E. Brunkow)氏
- フレッド・ラムズデル(Fred Ramsdell)氏
- 下川 清文(Shimon Sakaguchi)氏
彼らは「免疫システムが自己と異物を識別する仕組み」を解明した功績により表彰されています。
🧠 まとめ:量子の世界から社会のインフラへ
今回の受賞は、
量子力学の研究がもはや学術的探求に留まらず、
スマートフォンから量子コンピューターまで、現代社会を支える基礎技術になっていることを示す象徴的な出来事です。
🎓 「量子力学は、見えない世界を理解するための科学から、
私たちの生活を動かすテクノロジーの土台へと進化している。」