以下は、Reuters報道
「IBM says conventional AMD chips can run quantum computing error correction algorithm」
(2025年10月25日公開)の日本語まとめ記事です。

🧭 IBM、量子誤り訂正アルゴリズムをAMDチップで実行成功──商用量子コンピューティング実現へ大きな一歩
サンフランシスコ発。
IBM(NYSE: IBM)は、量子コンピューティングの誤り訂正アルゴリズムをAMD製の一般的なチップ上で動作させることに成功したと発表しました。
この成果は、量子コンピュータの商用化に向けた重要なマイルストーンとみられています。
IBMはマイクロソフトやグーグル(アルファベット)と並び、量子技術の実用化を競うリーディング企業の一つです。
同社が発表した研究成果は、高価な専用ハードウェアを必要とせず、既存の半導体技術で量子誤り訂正をリアルタイム処理できる可能性を示しました。
🔍 背景:量子計算の課題「誤り訂正」
量子コンピュータは「量子ビット(qubit)」を用いて、従来のコンピュータでは数千年かかる計算を短時間で処理することを目指しています。
しかし、量子ビットは極めて不安定かつ誤りが発生しやすいため、エラーを抑える「量子誤り訂正(quantum error correction)」が鍵となります。
IBMは2025年6月、量子チップと並行して動作し、誤りをリアルタイムで補正する新しいアルゴリズムを開発したと発表していました。
そして今回、そのアルゴリズムがAMD製のFPGA(Field Programmable Gate Array)上で実際に動作することを確認したのです。
⚙️ 技術の詳細と成果
IBMリサーチ部門のディレクター、ジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)氏によると、
このアルゴリズムは「現実世界でも機能し、しかも市販のAMDチップ上で十分な速度で動作する」ことが実証されました。
- 使用チップ:AMD製FPGA(汎用プログラマブルチップ)
- 実行速度:必要性能の10倍の速さで稼働
- 意義:量子誤り訂正を専用量子ハードウェアなしでリアルタイム制御可能にしたこと
ガンベッタ氏は次のように述べています。
「実装を行い、それが実際に必要な速度より10倍も速く動くことを示せたのは大きな成果だ。」
🌌 IBMの長期ビジョン「Starling計画」
IBMは現在、2029年までに完成を目指す次世代量子コンピュータ「Starling(スタリング)」を開発中です。
今回のアルゴリズム研究は、その計画より1年早く達成された成果とされています。
この進展により、IBMは量子誤り訂正技術の実用化で競合他社より一歩リードする可能性があります。
💹 市場の反応
発表を受けて、10月24日(金)の米株式市場では以下のように株価が急上昇しました。
- IBM株:前日比 +7.88%(終値 $397.46)
- AMD株:前日比 +7.63%(終値 $252.92)
市場は今回の技術成果を「量子計算の商用化に向けた現実的な進歩」として高く評価しています。
💬 IBM、量子誤り訂正アルゴリズムをAMDチップで実行成功のまとめ:量子×従来チップの“融合時代”へ
IBMが示したのは、「量子技術を必ずしも量子チップだけで完結させる必要はない」という新しい発想です。
AMDのような汎用チップで誤り訂正を補完できれば、
量子コンピュータのコスト削減・普及・実用化の加速が期待されます。
量子研究が“現実のハードウェア”に近づいた今、
IBMのアプローチは次世代計算時代の鍵を握るかもしれません。
