「日本人2000万人調査で超過死亡は接種者だけ」は本当か?ロバート・クランシー教授の発言を検証

Photo of author

By ai-taco

「日本人2000万人調査で超過死亡は接種者だけ」は本当か?ロバート・クランシー教授の発言を検証

「日本人2000万人調査で超過死亡は接種者だけ」は本当か?ロバート・クランシー教授の発言を検証

「日本で約2000万人を対象にした大規模研究が行われ、超過死亡はすべてCOVID-19ワクチン接種者に発生し、未接種者ではゼロだった」。

さらに、「追加接種の約3カ月後から死亡率が上昇し、接種後約100日でピークを迎えた」とする主張がSNSなどで注目されています。

この内容を紹介しているのが、オーストラリアのロバート・クランシー(Robert Clancy)名誉教授です。

しかし、結論から言えば、現時点で「日本の2000万人規模の査読済み研究によって、接種者だけに超過死亡が発生したことが証明された」と表現するのは正確ではありません。

「2000万人研究」とされているものは何なのか

この話で重要なのは、「約2000万人を対象にした研究」という部分です。

確認できる範囲では、クランシー教授が言及したとみられるものは、一般的な医学論文として発表された「2000万人規模のコホート研究」ではなく、日本の自治体などへの情報開示請求によって収集されたワクチン接種・死亡関連データを解析したプロジェクトです。

このデータをもとに、一部の研究者らが「接種から死亡までの日数に一定のピークが見られる」といった分析を発表しています。

ただし、この「2000万人研究」が査読済み医学論文として公表され、「未接種者の超過死亡がゼロだった」「すべての超過死亡が接種者だった」と確認されたわけではありません。ファクトチェックでも、元データには未接種者の適切な比較群が含まれていないなど、重大な制約が指摘されています。

「接種後100日で死亡がピーク」というパターン

クランシー教授は、ワクチン接種後およそ100日付近で死亡率がピークになるという点にも注目しています。

もし接種回数ごとに同じ時間的パターンが繰り返されるのであれば、確かに疫学的に詳しく調査すべきシグナルにはなります。

ただし、

「接種から約100日後に死亡が多い」=「ワクチンが死亡を引き起こした」

とは限りません。

高齢者ほど追加接種を多く受けていること、接種時期がCOVID-19流行期や冬季の死亡増加と重なること、基礎疾患、感染歴、医療アクセス、人口高齢化などを調整する必要があります。

時間的な一致は因果関係を調べる出発点にはなりますが、それだけで原因を証明することはできません。

日本で超過死亡が増加したこと自体は事実

一方、日本で2022年以降に大きな超過死亡が観測されたこと自体は研究者の間でも議論されています。

2025年に「Journal of General and Family Medicine」ではなく日本医師会系の「JMA Journal」に掲載された論文では、日本で2022~2023年に超過死亡が大きく増えたことを指摘し、COVID-19そのものだけでなく、繰り返されるmRNAワクチン接種の影響についても十分に調査する必要があると論じています。

ただし、この論文自身も「ワクチンが超過死亡の原因だった」と証明したものではなく、原因解明にはさらなる研究が必要だとしています。

ワクチン接種後の死亡リスクを直接比較した日本研究もある

反対方向の結果を示す日本の研究も存在します。

日本の2自治体を対象とした「VENUS study」では、18~64歳および65歳以上について、mRNAワクチン追加接種後21日・42日以内の死亡リスクを分析しました。

その結果、研究者らは追加接種による死亡リスクの増加は確認されなかったと結論づけています。

ただし、この研究についても観察期間が接種後21~42日と短いため、「100日前後」という今回の主張を直接検証したものではありません。

2026年の最新レビューも「因果関係はまだ判断できない」

2026年6月に「Frontiers in Public Health」に掲載された日本の超過死亡に関するレビューでは、2022年以降の超過死亡が重要な研究課題であることを認めています。

同時に、追加接種と超過死亡との統計的関連を報告した研究については、現在のデータだけでは因果関係を確立できないとしています。

人口高齢化、医療の中断、診断・治療の遅れ、COVID-19感染そのものなど複数の要因を考慮し、全国規模で個人の接種歴・感染歴・死亡原因などをリンクしたデータによる検証が必要だというのが現在の慎重な評価です。

まとめ

ロバート・クランシー教授が紹介した「日本人約2000万人のデータ」と「接種後約100日で死亡がピークになる」という主張は、追加検証する価値のある問題提起ではあります。

しかし、

「2000万人の査読済み研究で、すべての超過死亡がワクチン接種者に発生し、未接種者ではゼロだったことが証明された」

という段階にはありません。

重要なのは、疑問そのものを排除することでも、時間的相関だけから因果関係を断定することでもありません。

日本には大量の接種データと死亡統計があります。接種日、接種回数、年齢、性別、感染歴、基礎疾患、死因などを個人レベルで結びつけ、接種者と未接種者を適切に比較できれば、この問題をより明確に検証できます。

「接種後100日前後」というパターンが本当に存在するのか、存在するとすれば何が原因なのか。

そこまで検証して初めて、この議論に科学的な答えを出すことができます。

参考x

こちらの記事を次のSNSでシェア:

Leave a Comment