渦巻銀河メシエ74、実は”2倍の大きさ”だった 淡い若い星々の外縁部を発見

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By ai-taco

スペイン・カナリア天体物理学研究所(IAC)のイグナシオ・ルイス・セフド氏らの研究チームは2026年9月、りょうこ座(うお座)方向にある渦巻銀河「メシエ74(M74、通称”ファントム銀河”)」の外縁部に、これまで知られていなかった淡く若い星々の集団を発見したと発表した。この発見により、M74の恒星の広がりはこれまでの推定のおよそ2倍に達することが明らかになった。成果は9月4日付で学術誌「アストロノミー&アストロフィジックス」に掲載された。

研究チームは、スペイン・テネリフェ島のテイデ天文台に設置された「TST(2メートル・ツイン望遠鏡)」を用いて、M74を長時間露光で撮影した。得られた画像は、1平方秒角あたり30〜31.5等級という極めて淡い表面輝度まで検出できる高感度なもので、従来の観測では埋もれてしまっていた微弱な構造を浮かび上がらせた。その結果、銀河中心からおよそ14〜15キロパーセクとされてきた恒星円盤の外側、およそ30キロパーセクの距離まで、淡く青みを帯びた星々が広がっていることが確認された。距離に換算すると、これまで知られていた円盤の直径(約4万5000光年)が、実際には約10万光年まで達していたことになる。

とりわけ注目されるのは、この外縁部の星々の年齢が平均でわずか6億〜6億4000万年程度と、比較的若いことだ。これは、M74の恒星円盤が10億年に満たない期間で一気に倍の大きさへ成長した可能性を示している。研究チームは、およそ40万光年離れた伴銀河「UGC 1176」が約10億年前にM74へ接近した際の重力的な”フライバイ”が、銀河外縁部の低温ガスを乱して星形成を誘発したのではないかとの仮説を提示している。新たに見つかった星々の広がりは、電波観測で知られる中性水素(HI)ガス円盤の大きさとほぼ一致しており、ガスと星形成の関係を裏付ける材料となっている。

M74は地球からおよそ3200万光年離れた位置にある、正面から見た美しい渦巻構造で知られる銀河で、これまでもジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とハッブル宇宙望遠鏡の観測データを組み合わせ、若い星団やガスの微細構造が解析されてきた。長年にわたり観測が重ねられてきた”見慣れた”銀河であっても、極めて淡い構造は見過ごされうることを、今回の発見は示している。研究チームは今後、同様の深撮り観測を他の近傍銀河にも広げ、銀河がどれほど頻繁にこうした”爆発的”な外縁成長を経験しているのかを検証していく方針だという。

渦巻銀河の外縁部に淡い構造を見つけ、銀河の成長過程を読み解く手法は、ウェッブとハッブルによる”ブラックアイ銀河”M64の観測など、近傍銀河の微細構造を読み解く近年の研究とも通じるものがある。今後、他の”見慣れた”銀河でも同様の見過ごされてきた構造が見つかるかどうか、追加観測の広がりが注目される。

出典: phys.org「Faint young stars reveal spiral galaxy Messier 74 may be twice as large as thought」(2026年9月)

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