渦巻銀河NGC 4698、中心部だけ”逆向き”に回転 ハッブルが謎の構造をとらえる

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By ai-taco

米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)は2026年9月、ハッブル宇宙望遠鏡がおとめ座銀河団に属する渦巻銀河「NGC 4698」を観測し、銀河中心部の”バルジ”(恒星が密集した膨らみ)が、円盤本体とは直角に近い向きへずれて回転しているという珍しい構造をとらえたと発表した。地球からおよそ5500万光年離れたこの銀河は、一見すると穏やかな渦巻銀河だが、内部にはこれまで知られていなかった”ねじれ”が隠されていたことになる。

NGC 4698は、天の川銀河と同じように薄い円盤の中に渦巻腕が広がる典型的な渦巻銀河に見える。しかし今回、おとめ座銀河団内の銀河を集中的に調べる観測プロジェクト「MAUVE」(米ジョンズ・ホプキンス大学のD・ティルカー氏らが主導)がハッブルのデータを詳しく解析したところ、銀河の中心付近にあるバルジとその周辺のガスが、円盤本体の回転方向とは垂直に近い向きで回っていることが判明した。中心部にあるバルジが円盤から直角に突き出すように傾いている渦巻銀河は、これまでに確認された例がごくわずかしかないという。

研究チームは、この”ねじれ”の原因が銀河の外部にあった可能性が高いとみている。有力な仮説の一つは、NGC 4698がはるか昔に小さな伴銀河を飲み込んだか、あるいは銀河間空間から円盤とは逆向きに回転するガスの流れを大量に取り込んだというものだ。外部から流れ込んだ物質は中心部へ落ち込む際、既存の円盤の回転にそのまま合流するのではなく、独自の傾いた面へと沈殿していったと考えられている。実際、銀河の片側からは水素ガスの短い”尾”が伸びている様子も確認されており、過去に小規模な銀河同士の衝突・合体を経験した痕跡とみられている。

銀河の中心部と外縁部で回転の向きがずれる、あるいは逆転するような構造は、銀河が過去にたどった合体や物質降着の履歴を読み解く手がかりとして注目されてきた。今年9月には、渦巻銀河「M64(ブラックアイ銀河)」でも内側と外側のガスが逆方向に回転する構造がウェッブとハッブルの合成画像から明らかになったばかりで、いずれのケースも過去の銀河合体が現在の姿に影を落としている点で共通している。NGC 4698のように、一見平穏に見える銀河の内部にも、合体の記憶が数十億年にわたって刻まれ続けている可能性がある。

研究チームは今後、同様の”ねじれ”を持つ他の銀河についても観測を広げ、バルジと円盤の回転がずれる現象がどの程度普遍的なのか、またどのような条件の合体がこうした構造を生み出すのかを検証していく方針だという。

出典: NASA Science「NASA’s Hubble Spots an Out-of-Sync Galaxy」(2026年9月)

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