欧州宇宙機関(ESA)の木星氷衛星探査機「JUICE(Jupiter Icy Moons Explorer)」は現地時間2026年9月28日、地球にごく近い高度8640キロメートルまで接近する3回目の地球スイングバイ(重力アシスト)を成功させた。事前に予告されていた計画どおり、最接近はインド洋上空で協定世界時同日11時45分(中央ヨーロッパ夏時間13時45分)に行われ、機体は地球の重力を利用して速度と進路を変え、木星への航路をさらに前進させた。
ESAによると、今回のフライバイによってJUICEの速度は秒速およそ3.5キロメートル引き上げられ、進路もおよそ20度変化した。最接近の直前、中欧夏時間9月27日午後9時24分から28日午前6時3分にかけては地球の影に入り、太陽電池からの電力供給が絶たれる時間帯を経験したが、機体は搭載バッテリーのみで運用を継続し、無事にこの難所を乗り切った。運用チームは接近前の4週間、あらかじめ確保していた6回の軌道修正の機会のうち、わずか1回のごく小さな修正だけで最適な接近軌道に機体を導いたという。
JUICEは最接近の際、搭載する監視カメラで地球と月を撮影したほか、10種類の科学観測機器を9月23日から10月3日にかけて順次起動し、地球・月を対象にした観測データも取得している。2023年4月の打ち上げ以来、月・地球を組み合わせた史上初のフライバイ(2024年8月)、金星フライバイ(2025年8月)に続く重要な軌道変更を、今回も計画どおりにこなした形だ。
今回のスイングバイを終えたことで、次の重力アシストは2029年1月に予定される最後の地球フライバイとなる。ESAは、そこから木星系への到達を2031年7月と見込んでおり、7年以上に及ぶ長い巡航フェーズは着実に最終目的地への軌道を描きつつある。JUICEは今後もガニメデやエウロパといった木星の氷衛星探査に向け、限られた燃料を効率的に使いながら航行を続けていく。
出典: ESA「Successful Earth flyby improves Juice’s course to Jupiter」(2026年9月28日)