NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、ケネディ宇宙センターでの記者会見で、月面基地の建設と宇宙飛行士の月面着陸を最短で2年以内に進める考えを示した。AP通信が報じた。アルテミスIIで4人の宇宙飛行士が月を周回してから半年後の進捗報告にあたる。
長官は中国との「新たな宇宙開発競争」について、過去の進みの遅さが原因で、本来必要だった以上に差が詰まっていると述べた。そのうえで、延々と続く会議や官僚的な惰性を減らし、スペースXやブルーオリジンなどの企業が昼夜を問わず作業し、NASAも人員を強化していると説明した。
進め方の手本は、1960年代から70年代のアポロ計画だという。長官は「ハイテク業界の魔法でも新しい経営哲学でもなく、この組織がよく知っている自らの歴史の手法だ」と語り、アポロ7号の海上着水からアポロ11号までわずか9か月で到達した例を挙げた。
計画の流れは次のとおり。来年夏に予定するアルテミスIIIは月へは行かず、地球の周回軌道で、スペースXとブルーオリジンの月着陸船との結合(ドッキング)を練習する約2週間の飛行になる。有人の月面着陸は2028年のアルテミスIVで行う予定で、NASAはどちらの着陸船を使うかの判断を、できるだけ遅くまで残す方針だという。
月の南極付近に建てる基地については、年内に最初の打ち上げがある見通しとされる。2024年に最初の月面着陸ミッションがうまくいかなかった米国の企業が再挑戦し、探査車などを送る。その後も着陸機や探査車、周回機を続けて送り、最初の宇宙飛行士が着くときには探査車がすでに月面にある状態を目指す。
最初に月面を歩く飛行士は、アクシオム・スペースが開発中の長期滞在向けより軽くて単純な「ソーティー・スーツ」を着る。複雑さとリスクを減らすための判断で、同社は来年、国際宇宙ステーションで試験する予定だ。アルテミスIIIに搭乗予定のフランク・ルビオ宇宙飛行士は、計画を「非常に野心的」としつつ、長期滞在はアポロ型の短期訪問よりずっと難しいと語っている。
出典: Phys.org(AP通信配信)「NASA adopting Apollo's urgency to build a moon base and land astronauts within 2 years」(2026年10月24日)