南アフリカの電波望遠鏡「ミーアキャット(MeerKAT)」を使う国際共同研究「MeerKLASS」が、宇宙にある中性水素(電子が離れていないふつうの水素原子)の、大きなスケールでの「群れ方」を初めて測定したと発表しました。水素の分布が、銀河が糸や壁のようにつながる「宇宙の網の目(コズミック・ウェブ)」に沿っていることを確かめたものです。成果は英国の天文学誌「王立天文学会月報(MNRAS)」に掲載されます。
使われたのは「21cm線強度マッピング」という方法です。水素原子は波長21cmの電波を出しますが、遠くの銀河の一つひとつを見分けるのではなく、空の広い範囲で多数の銀河から届く水素の電波をまとめて測り、全体の濃淡を地図にします。今回は約250平方度、満月およそ1250個分の空を解析し、宇宙の年齢が90億歳を少し過ぎたころ、つまり約45億年前に出た信号をとらえました。
難しいのは、天の川銀河などから来る電波の「前景」が、目当ての水素の信号より約1万倍も強いことです。研究チームは、ミーアキャットの64台のアンテナを1つの望遠鏡として組み合わせるのではなく、それぞれを独立した望遠鏡として使い、細かさを犠牲にする代わりに広い範囲を素早く観測しました。その結果、統計的な雑音の6倍を超える強さで信号を検出できたといいます。
解析の仕組みの開発を率いた英ポーツマス大学のスティーブン・カニントン博士らによると、この成果は約10年の取り組みの末に得られたもので、7か国・3大陸の研究者が参加しました。銀河を一つずつ数えるのとは違う角度から、宇宙の大きな構造を地図にする手法として、今後の発展が注目されます。
出典: Phys.org(ポーツマス大学)「Cosmic hydrogen measurement marks breakthrough in mapping the universe」(2026年11月4日)