NASAは8月7日、宇宙飛行士ブッチ・ウィルモア(Butch Wilmore)氏の引退を発表しました。彼は、Boeing社の宇宙船「スターライナー(Starliner)」による有人初飛行のパイロットとして注目を集めた人物です。しかしこのミッションは数々の問題に見舞われ、予定された8日間の滞在が最終的に9か月超の滞在へと延長される結果となりました。
以下は「Astronaut retires after returning from troubled test flight and extended stay in space(問題続きのテスト飛行と長期宇宙滞在後に引退した宇宙飛行士)」の日本語まとめ記事です。

【引退発表】NASA宇宙飛行士ブッチ・ウィルモア氏、想定外の9か月宇宙滞在を経て現役を退く
🚀 問題だらけのStarliner初飛行
2024年に行われたこのテスト飛行では、推進システムの不具合やガス漏れなど複数のトラブルが発生。NASAとBoeingは帰還の安全性を慎重に見極めるため、当初予定されていた帰還は延期され、最終的に2人はSpaceXのCrew-9ミッションの一員としてISSの長期クルーに編入されました。
この結果、ウィルモア氏と共に乗船していたNASA宇宙飛行士スニ・ウィリアムズ(Suni Williams)氏も同様に、予定外のロングミッションに対応することとなりました。
🌌「見捨てられた」のではなく「準備万端だった」
「宇宙に取り残された」などの報道が流れる中、ウィルモア氏はCNNのインタビューで次のように反論しています:
「“見捨てられた”、“取り残された”という表現がずっと使われてきました。でも私たちは**『準備され、そして覚悟を持っていた』という言葉に変えてほしい**。それが真実です。」
彼らは常に冷静に対応し、延長されたミッションにも柔軟に取り組んでいたことを強調しました。
🧑🚀 ウィルモア氏の功績と引退
- NASA所属歴:25年(2000年〜2025年)
- フライト経験:3回(アトランティス、ソユーズ、スペースXカプセル)
- 元海軍士官・テストパイロット(戦闘任務21回)
NASAのジョンソン宇宙センターのスティーブ・カーナー氏は次のようにコメント:
「彼のNASAミッションへの献身は、未来の宇宙探査に対するインスピレーションとして永く受け継がれるでしょう。」
✈️「次もStarlinerに乗る覚悟はある」
3月の地球帰還時、ウィルモア氏はStarlinerについてポジティブな姿勢を見せました。
「今回の問題をすべて修正し、改善する。我々はやり遂げる。チャンスがあれば、また喜んでStarlinerに乗る。」
この発言は、今後のBoeing製宇宙船への信頼回復に向けた意気込みを象徴しています。
🧵 引退の流れと伝統
ウィルモア氏の引退は、SpaceX Crew Dragon初飛行後に引退したボブ・ベーケン氏やダグ・ハーリー氏の例に続くもので、試験飛行後に宇宙飛行士を引退する流れが続いています。
今後の宇宙開発においても、ウィルモア氏の“覚悟と責任”は、後進たちに大きな道標となることでしょう。