
まとめ記事:「Cedars-Sinai、宇宙で心臓・脳オルガノイドを創成へ」(2025年8月)
1. 実験の概要
- Cedars-Sinaiの研究者らが、世界初となる心臓・脳オルガノイドを宇宙で作成する実験を開始。
- 打ち上げは2025年8月24日、NASAのSpaceX第33回商業補給ミッションでISSへ輸送予定。
- これはNASAの「In-Space Manufacturing Award」による資金支援を受け、Axiom Spaceと共同で実施される。
2. オルガノイドとは?
- 皮膚や血液細胞を幹細胞にリプログラムし、心臓や脳細胞に分化させて形成される微小な三次元細胞塊。
- サイズは1mm未満だが、疾患モデルや薬剤テストに大量利用でき、医学研究に大きな貢献を果たす。
3. 宇宙で育てる意義
- 地球上では重力によりオルガノイドが押し潰され、構造や血管形成に制約がある。
- 微小重力下ではより自然な三次元成長が可能と期待され、
- 新たな血管形成
- 独自の自己組織化
- 地上では得られない細胞タイプの発生
などの可能性がある。
4. 研究の応用領域
- 心臓オルガノイド(Arun Sharma博士)
- がん治療薬の心臓への影響調査
- 先天性心疾患や心機能改善療法の研究
- 脳オルガノイド(Clive Svendsen博士)
- ALS、ハンチントン病、パーキンソン病など神経変性疾患のモデル化
- 宇宙でのオルガノイド生成は、これら研究を加速させる可能性がある。
5. 実験プロセス
- 幹細胞はAllen Instituteから入手し、凍結状態でISSへ輸送。
- 宇宙では「プレート型ハビタット」(BioServe社製)内で培養。
- 宇宙飛行士が栄養交換や顕微鏡撮影を担当。
- 約1か月後に地球へ帰還し、サイズ・形状・遺伝子特性などを分析。
6. 今後の展望
- Sharma博士の夢は「地上ラボと並行した宇宙ラボ」を構築し、バイオプリンティングによる人工心臓・脳・筋肉組織の生成を目指すこと。
- 次段階では、NIH助成金による「加速炎症や老化をモデル化する心臓・腸・脳オルガンチップ実験」に挑む予定。
✅ 結論
Cedars-Sinaiの宇宙実験は、心臓や脳疾患研究を新たな次元へ押し上げる可能性を秘めている。
微小重力がもたらす独特の細胞成長環境を利用することで、再生医療や創薬、将来的には人工臓器生成への道が開かれるかもしれない。