
ChatGPTが宇宙船操縦で驚きの成果――自律型宇宙探査の時代が近づく
概要
最新の研究コンテストで、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)が宇宙船の自律操縦に挑戦し、予想以上の成績を収めました。人間によるリアルタイム制御が難しい深宇宙探査や、今後ますます増える衛星運用に向けて、AIによる自律運用の可能性が大きく広がっています。
コンテストの内容と背景
- Kerbal Space Program Differential Game Challenge
人気シミュレーションゲーム「Kerbal Space Program」をベースにした現実的な環境で、AIによる宇宙船操縦を競う国際的なチャレンジが開催。 - ミッション例
- 追跡宇宙船による目標衛星の追尾・迎撃
- 検知回避ミッション など
ChatGPTのアプローチと成果
- テキストによる操縦指示
宇宙船の状態や目標をテキスト情報に変換し、ChatGPTに「どう動かすべきか」を指示させる。 - 出力の自動変換
ChatGPTの回答(テキスト)をプログラムコードに変換し、シミュレーション内の宇宙船を実際に動かす仕組みを構築。 - 結果
少数のプロンプトと微調整のみで、多くの課題をクリア。最終的には2位という好成績を収めました(1位は数式ベースの別モデル)。
なぜLLMが有効だったのか
- 膨大な事前学習
ChatGPTは既に膨大な人間の知識を学習済み。新たな訓練データや長期間のフィードバックなしでも、プロンプト設計次第で柔軟に対応可能。 - 短時間のミッションに適合
従来のAIは長期間の訓練が必要だが、LLMは「その場での最適解」を素早く導けるため、現実的なミッション時間にも対応。
今後の課題と展望
- 「幻覚」出力のリスク
LLM特有の誤った出力(幻覚)が実運用では致命的となるため、さらなる信頼性向上が必要。 - 最新モデルへの期待
今回の成果はChatGPTの旧バージョンでのもの。今後のバージョンアップで、さらに高精度な自律操縦が期待されます。
まとめ
ChatGPTのような汎用AIが、わずかな調整で宇宙船操縦に適応できることが実証されました。自律型宇宙探査や衛星運用の現場で、AIの活躍が現実味を帯びてきています。今後はさらなる精度向上と安全性の確保が進めば、宇宙開発の新たな時代が到来するでしょう。