2025年8月、米運輸長官でありながらNASAの暫定長官も務めるショーン・ダフィ氏が、月面に100キロワットの原子炉を2030年までに建設する計画を正式に打ち出す予定であることが報じられました。
これはNASAにとって初の大規模な月面エネルギー施設の設置に向けた具体的なタイムラインの提示となり、中国・ロシア連携による月探査に対抗するアメリカの動きを加速させるものです。
以下は、記事「Duffy to announce nuclear reactor on the moon(ダフィ氏、月面原子炉の建設計画を発表へ)」のまとめ記事です:
🚀 アメリカ、月面に原子炉を建設へ──NASA暫定長官ショーン・ダフィ氏が正式発表へ
■ 背景と意義:第二の宇宙開発競争の幕開け
- 米国はかねてより月面原子炉の研究を進めていたが、今回の発表で**「2030年打ち上げ」**という明確な目標が設定される
- 中国が2030年に月面に初の宇宙飛行士を送る計画を進めており、それに先んじる形を狙う
- 月面に原子炉を設置することで、長期的な宇宙居住・探査・資源開発が可能に
■ ダフィ長官の狙い
- NASAの予算削減が議論される中でも、有人探査予算は拡大の方向
- ダフィ氏は国際宇宙ステーション(ISS)の民間代替案を迅速に推進する指令も出しており、
- 「NASAの意思決定に積極的に関与していく意思表明」と見る向きが強い
■ 原子炉計画の詳細
- 100キロワット級の月面用原子炉を開発・打ち上げする民間企業を60日以内に公募
- NASAはすでに40キロワット級の原子炉研究を実施済み
- 新計画では、中国やロシアに先駆けて月面に安全な電力供給体制を築くことが目的
「原子炉を先に設置した国が、他国の接近を制限する“立ち入り禁止ゾーン”を宣言する可能性がある」
─ NASA指令書より
■ 宇宙ステーション代替計画も加速
- ISS老朽化が進む中、民間主導による次世代宇宙ステーションを2030年までに軌道投入することを目指す
- 半年以内に少なくとも2社に契約を付与予定
- 候補企業には、Axiom Space、Blue Origin、Vastなど
■ 宇宙政策におけるトランプ政権の影響
- トランプ大統領は2025年7月に民間宇宙企業家ジャレッド・アイザックマン氏の指名を撤回
- 後任として保守派のショーン・ダフィ氏をNASA暫定長官に任命
- トランプ政権は一貫して**「有人飛行と宇宙でのアメリカの覇権」**に注力
■ 今後の展望
- 宇宙原子炉と新型宇宙ステーションの進展により、アメリカの宇宙戦略は“持続的プレゼンス”にシフト
- 一方で、科学探査・研究ミッションへの予算は最大50%削減の提案もあり、「宇宙の軍事・産業化偏重」への懸念も
🔭 結論:宇宙は次の戦略的領域に
ダフィ長官のリーダーシップのもと、NASAは“月での主導権”と“民間宇宙産業の加速”という2本柱の改革に着手。
宇宙は、もはや夢ではなく、国家安全保障・経済競争・エネルギー戦略の最前線となりつつあります。