
NASA-ISRO共同衛星NISAR ― 直径12mの巨大レーダーアンテナ展開に成功
2025年7月30日にインド・サティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられた NASA-ISRO合同合成開口レーダー衛星(NISAR) が、打ち上げ17日後に直径 39フィート(12メートル) の巨大アンテナリフレクターを無事展開しました。この成功は、地球観測と防災・農業・インフラ管理に革命をもたらす重要な節目となります。
🌍 ミッションの目的
- 観測対象:氷床・氷河の動き、地震・火山・地すべりによる地形変動、森林・湿地の変化
- 観測頻度:地球上の陸地と氷のほぼ全域を 12日で2回スキャン
- 応用分野:防災対策、農業生産、インフラ監視、気候変動研究
🚀 アンテナ展開の仕組み「ブルーム」
- アンテナは重量 64kg、金メッキのワイヤーメッシュと123本の複合材ストラットで構成。
- 打ち上げ時は 直径0.6mに折りたたまれた状態。
- 8月9日:9mのブームが4日かけて展開。
- 8月15日:爆薬ボルトが作動し、アンテナが 「傘のように開く(ブルーム)」 プロセス開始。
- 約37分で 完全展開(12m) に成功。
🔬 技術的特長
- 世界最大級のNASAミッション用アンテナリフレクター。
- LバンドSAR(NASA提供):雲や森林を透過、氷・地殻変動に強い。
- SバンドSAR(ISRO提供):軽い植生や雪中の水分に敏感。
- 両バンドのデータを組み合わせ、地表変化の高精細3D映像 を生成可能。
- 解像度:地表を約10m単位で観測可能。従来のレーダーで同等解像度を得るには 19kmものアンテナ が必要とされる。
🤝 国際協力の成果
- NASA:LバンドSAR、アンテナ、通信・データ処理機器を提供。
- ISRO:SバンドSAR、衛星バス、打ち上げサービス、地上局運用を担当。
- 米印協力の歴史をさらに強化する象徴的なプロジェクト。
✨ 意義
- これにより、地球表面変化を「ほぼリアルタイム」で追跡可能に。
- 災害対応の迅速化、農業や食糧安全保障の改善、持続可能な社会インフラの発展に貢献。
- NISARは地球観測技術の新時代を切り開くミッションとなります。