2025年8月6日、NASAの暫定長官ショーン・ダフィー氏は、引退したスペースシャトルの1機をテキサス州ヒューストンの非営利団体に移設する決定を下しました。しかし、どの機体が移設されるのかは明らかにされていません。
以下は、記事「Houston, you’ve got a space shuttle… only NASA won’t say which one」の日本語によるまとめ記事です:
【混乱】NASA、スペースシャトルのヒューストン移設を決定──だが機体名は非公開
■ 背景:Discoveryを巡る政治的動き
- テキサス州のジョン・コーニン上院議員とテッド・クルーズ上院議員は以前より、スペースシャトル「ディスカバリー」をワシントンDCのスミソニアン航空宇宙博物館からヒューストンのスペースセンター・ヒューストンへ移設するよう働きかけてきました。
- 2025年7月にトランプ前大統領が署名した**「One Big Beautiful Bill」**という法案により、NASAは「宇宙に飛行し、有人飛行実績のある機体」を移設することを義務付けられましたが、特定の機体名は明記されていません。
■ 現在の謎:なぜシャトル名が非公開なのか?
- NASA広報は「すでに機体は特定された」としていますが、正式発表はなし。
- ヒューストンの受け入れ団体は**「Discoveryを前提に準備を進めている」**と発言。
- しかし、**スミソニアン航空宇宙博物館は「Discoveryは自分たちの所有物」**だと主張しており、移設に強く反対しています。
■ 法的問題:DiscoveryはもうNASAのものではない?
- NASAは2012年に「ディスカバリー」の所有権をスミソニアンに正式譲渡。
- スミソニアンは「すべての権利、権益、所有権は当館にある」とし、返還に応じる法的義務はないとしています。
- 専門家も「このような所有物を政府が強制的に取り戻すことは**憲法違反(第五修正)**に当たる可能性がある」と警告。
■ 移設への反発と課題
- 移設に伴う費用は法案で8500万ドルが確保されているものの、スミソニアン側は「移送は複雑で高額、損傷の危険性もある」と反対。
- 米国議会では、この移設予算の凍結を求める修正案が提出されており、9月の会期再開後に採決予定。
- 一般市民からも、“KeepTheShuttle.org” という草の根キャンペーンが展開され、Discoveryの移設に反対の声が広がっています。
■ 他のシャトルは?
シャトル名 | 現在の展示場所 | 所有権 | 移設可能性 |
---|---|---|---|
エンデバー | カリフォルニア科学センター | 科学センター所有 | ❌ 不可能 |
アトランティス | ケネディ宇宙センター(NASA自身が展示) | NASA所有 | ❌ 難しい |
ディスカバリー | スミソニアン(Udvar-Hazyセンター) | スミソニアン所有 | ⚠️ 法的問題あり |
■ 今後の注目ポイント
- NASAが実際にどの機体を移設しようとしているのか?
- Discoveryが「返還」される可能性はあるのか?
- 議会での予算凍結修正案の行方
- 移設強行が憲法違反に発展する可能性
🚀 要約
「スペースシティ」ヒューストンへのシャトル移設が政治的・法的論争を巻き起こしています。名指しはされていないものの、対象とされているのはDiscoveryである可能性が高いですが、所有権の壁が大きなハードルとなっています。今後の展開に注目です。