
ハッブル望遠鏡が観測 ―「低輝度で高関心」の銀河NGC 45
NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡が、くじら座に位置する渦巻銀河 NGC 45(地球から約2,200万光年)を観測しました。画像には、青く輝く星々やピンク色に光る星形成領域が広がる外縁部の様子が鮮明に写し出されています。
🔭 観測の目的
- この画像は2つの観測プログラムから得られたデータを組み合わせて作成。
- 50の近傍銀河を対象とした広域観測:紫外線〜可視光〜近赤外線を活用し、星形成の進み方を調査。
- Hα(赤色光)の観測:星形成領域から放射されるHα光を捉え、NGC 45のピンク色の星雲として可視化。
目的は、銀河の大きさ・構造・孤立度の違いが星形成にどう影響するかを明らかにすることにあります。
🌌 NGC 45の特異性 ― 低表面輝度銀河
- 見た目は普通の渦巻銀河に見えるが、実際には**「低表面輝度銀河(LSB銀河)」**と呼ばれる珍しいタイプ。
- 特徴:
- 夜空よりも暗く、発見が非常に困難。
- 保有するガスや暗黒物質に比べて、星の数が少ない。
- 初めてLSB銀河が発見されたのは1986年で、その後の研究で全銀河の30〜60%が該当する可能性があると分かってきました。
✨ 研究の意義
- LSB銀河の研究は、銀河形成と進化の理解に不可欠。
- これらの銀河は暗いため従来の観測では見逃されやすいが、ハッブルの高感度観測能力によって詳細が解明されつつあります。
- 今後、次世代望遠鏡との連携によって、「宇宙における銀河の隠れた多数派」の実像に迫ることが期待されています。