以下は、記事「Interstellar comet 3I/ATLAS will be eyed by Mars and Jupiter probes as it zooms past the sun this month」のまとめです。

☄️ 概要:太陽へ接近中の“恒星間彗星”3I/ATLASを、火星・木星探査機が観測へ
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、火星探査機および木星探査機JUICE(ジュース)を活用し、今月太陽へ接近する恒星間彗星「3I/ATLAS」を観測すると発表しました。
これは、太陽系外から飛来した3番目の天体として確認されたもので、活動が最も活発になる“近日点通過”のタイミングに合わせて、多角的なデータ収集が行われます。
🌌 3I/ATLASとは?
- 発見時期:2025年7月、チリのATLAS望遠鏡により発見
- 名前の由来:「3I」は3番目の恒星間天体(Interstellar Object)を意味
- 速度:約13万マイル/時(時速21.9万km)
- 特徴:
- 太陽の周囲を周回せず、開いた軌道(ハイパーボリック軌道)を描く
- これは、太陽系外の星間空間から飛来したことを示す
- 地上からの観測期間:2025年9月まで(太陽に近づきすぎるため、その後は観測困難)
🔭 観測スケジュールと探査機の役割
🔹 10月1〜7日:火星探査機による観測
- ESAのMars ExpressおよびExoMars Trace Gas Orbiter (TGO)が観測予定。
- 彗星は火星付近を通過し、最接近距離は約3,000万km(10月3日)。
- 加えて、NASAのPsyche探査機(小惑星16 Psycheへの途上)も観測を実施予定。
🔹 11月2〜25日:木星探査機「JUICE」による観測
- JUICE(Jupiter Icy Moons Explorer)が、近日点通過直後のタイミングで観測を担当。
- 太陽の熱によって彗星が最も活発になる期間であり、氷の蒸発やガス放出を詳細に解析予定。
- この時期、地球からの観測は不可能になるため、JUICEが最も貴重な観測データを取得する見込みです。
☀️ 近日点通過:彗星活動がピークに
- 太陽に最接近することで、内部の氷が加熱され蒸発・噴出(アウトガス)を起こす。
- 彗星核の周囲にはガスと塵の光るコマ(coma)が形成され、長い尾が出現。
- この時期に観測することで、彗星の化学組成が明らかになります。
- → これが「3I/ATLAS」の“化学的指紋”となり、太陽系外物質との比較が可能に。
🧬 科学的意義:銀河系に共通する“惑星の原材料”を探る
観測によって得られるデータは、以下の重要な問いに答える可能性があります。
研究テーマ | 期待される成果 |
---|---|
恒星間彗星の化学組成 | 太陽系内の彗星と同じ成分かどうかを比較 |
惑星系の共通性 | 他の恒星系でも同じ“構成要素”が存在するかを確認 |
星間物質の多様性 | 異なる星系由来の“未知の物質”を発見する可能性 |
もし成分が太陽系の彗星と似ていれば、「銀河全体で共通の惑星形成材料がある」ことを示唆。
逆に異なれば、他の恒星系のユニークな化学進化を示すことになります。
🪐 まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
彗星名 | 3I/ATLAS |
種類 | 恒星間彗星(太陽系外から飛来) |
発見 | 2025年7月(ATLAS望遠鏡) |
軌道 | ハイパーボリック(太陽系外起源を示す) |
主な観測者 | ESAのMars Express・ExoMars・JUICE、NASAのPsyche |
重要時期 | 2025年11月上旬(近日点通過) |
目的 | 彗星の化学組成と活動メカニズムの解析 |
意義 | 他の星系との共通性/違いを明らかにし、惑星形成の普遍性を探る |
💡 コメント
3I/ATLASは、オウムアムア(1I/ʻOumuamua)やボリソフ彗星(2I/Borisov)に続く、
3番目の星間訪問者(Interstellar Visitor)です。
太陽系外からやってきた“宇宙の旅人”が、
太陽の熱で目覚める瞬間を複数の探査機がリアルタイムで観測するという、
人類にとって貴重な宇宙ショーが今、進行中です。