
IonQ、量子インターネットへの重要マイルストーンを達成
― 光の波長変換で既存の光ファイバー網を活用可能に ―
量子インターネットへの一歩前進
2025年9月23日、米国メリーランド州のIonQ(NYSE: IONQ)は、量子ネットワークの実現に向けた画期的成果を発表しました。Air Force Research Lab(AFRL)の研究支援を受け、可視光で動作するトラップド・イオン量子コンピュータの光信号を、通信で使われるテレコム波長に変換することに成功しました。
この技術は、現在の光ファイバー網を利用して量子コンピュータ同士を遠距離で接続する道を切り開きます。
技術的な意義
IonQの量子システムでは、バリウムイオンと相互作用するために可視光を使用しています。しかし、長距離伝送に最適なのはテレコム波長です。
今回の成功により、量子情報を既存の光通信インフラで効率的に伝送できる可能性が示されました。これは、量子インターネットの基盤となる重要なステップです。
公式コメント
IonQ会長兼CEOのニッコロ・デ・マシ氏は次のように述べています。
「我々は、量子インターネットの実現に向けて重要な一歩を踏み出しました。近い将来、標準波長を用いて2台の量子コンピュータを接続し、商用光ファイバー網を使った量子ネットワークを実現します。」
また、米国議会のエリーゼ・ステファニク議員は、今回の成果が米国の量子技術の優位性や国防力強化に資するものであると強調しました。
背景と今後の展望
この成果は、IonQがAFRLに納入した初の光フォトニック・インターフェース統合型トラップド・イオン量子コンピュータに続くものです。
IonQは現在、ワシントンD.C.やシアトル、ボストン、スイス・バーゼルなど世界各地に拠点を拡大し、2030年までに200万量子ビット規模の量子コンピュータを開発するロードマップを掲げています。
商用・社会的インパクト
- 通信業界:既存の光ファイバー網を活用できるため、導入コストを大幅に削減可能。
- 産業応用:新薬開発、材料科学、金融モデリング、物流、サイバーセキュリティ、防衛分野での応用が期待。
- 国際競争力:米国が量子技術分野で先行するうえで、重要な成果と評価されます。
🔹 まとめ
IonQは、量子コンピュータの「島」をつなぎ、量子インターネット実現への扉を開く技術的ブレークスルーを達成しました。商用光ファイバー網をそのまま活用できる今回の成果は、量子ネットワークのスケーラビリティと実用化に大きく前進するものであり、未来の分散型量子計算や量子通信に直結する重要なステップといえます。