シエラスペース(Sierra Space)の再利用型宇宙機「Dream Chaser*は、スペースシャトルを彷彿とさせる翼付きの宇宙機として長年注目されてきました。しかし、2025年中の打ち上げ実現は極めて難しい状況であることが、最近のNASA関係者の発言から明らかになりました。
以下は、記事「Is the Dream Chaser space plane ever going to launch into orbit?」のまとめ記事です。
🛩️ Dream Chaser宇宙機、初飛行はいつ?—期待と遅延が交錯する現状
🔑 現在の状況と課題
- NASAの正式発言:
ISSプログラムマネージャーのDana Weigel氏は「彼ら(シエラスペース)が準備できたときに、我々も準備ができている」とコメントし、具体的な打ち上げ時期には触れず。 - 最終組立とソフトウェア試験中:
現在はソフトウェアのエンドツーエンドテストや推進システムの認証に注力中。 - 再設計された”グリーン”推進システム:
ケロシンと過酸化水素を使用した非毒性燃料システムを採用(従来の有毒なハイパーゴリック推進剤を回避)
→ これにより着陸後にハズマット装備不要で機体に近づける仕様だが、開発の難易度が高く、依然として試験中。
🚀 初ミッションはISSドッキングなしに変更の可能性も
- 当初計画:ISSへの貨物輸送ミッションとして打ち上げ、ISSへ接近・ドッキングする予定。
- 現在検討中の変更案:
ドッキングせずに接近飛行のみを行う「フライバイ」ミッションにする可能性
→ 推進システムのデータ取得とNASAからの信頼性確保を目的
→ 契約変更が必要で、最終決定は未定
🛰️ 打ち上げロケット「Vulcan」側の事情
- Vulcanロケットのスケジュールも混雑中:
国家安全保障ミッションや他のNASA案件が優先され、Dream Chaser用の打ち上げ枠が確保しづらい状態。 - 本来はVulcanの第2号機で打ち上げ予定だったが、2024年秋の時点でDream Chaserが準備不足のため、代わりに質量シミュレーターが搭載された。
📝 まとめ
- Dream Chaserは技術的にも運用面でも課題が山積み。
- NASAは慎重な姿勢を貫いており、2025年内の初飛行は非現実的。
- 一方で、ソフトウェア・推進技術の高度化や非毒性燃料の導入といった先進的アプローチには期待が集まっている。
- 今後の進展は、NASAとの契約調整やロケットの発射スケジュールに大きく依存することになりそうです。
🚧 長い開発期間を経て、ついに「現実」となるのか。Dream Chaserの飛翔は、今なお「夢の途中」にあります。