
まとめ|JWSTが捉えた「バタフライ・スター」――惑星誕生のゆりかご
発見の概要
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、**惑星形成円盤をまとう若い星「バタフライ・スター」**の新たな姿を捉えました。星を取り囲むガスとちりが蝶のように広がり、惑星誕生の舞台を示しています。
観測対象「バタフライ・スター」
- 星名:IRAS 04302+2247
- 距離:地球から約525光年
- 場所:おうし座の星形成領域(Taurus Molecular Cloud)
- 特徴:円盤を真横から見るため、光が遮られ二つの翼のように見える
この領域は分子水素や超新星由来の重元素が豊富で、新しい星や惑星の材料が豊かに存在しています。
JWST画像の特徴
- 使用機器:JWSTの近赤外線カメラ(NIRCam)と中赤外線装置(MIRI)
- 画像構成:ハッブル宇宙望遠鏡の可視光データ+JWSTの赤外線データ
- 発見のポイント:
- 星の光を遮る暗いちりの帯=原始惑星系円盤
- 直径約650億km(太陽系より数倍広大)
- 星光を散乱させるガスとちりが、蝶の羽のような輝きを演出
惑星形成研究への貢献
- 円盤を真横から観測できるため、厚みやちりの分布を解析可能
- ダストが円盤中央(ミッドプレーン)へ沈降 → 粒子が集まり**微惑星(planetesimals)**に成長する条件を確認
- 輝度の変化から、円盤の内側がねじれたり傾いている可能性が判明
これは数十億年前に私たちの太陽系でも起こったかもしれないプロセスを理解する手がかりとなります。
👉 JWSTが示した「バタフライ・スター」は、まさに惑星誕生の瞬間を目撃している現場です。