
天の川銀河で最も淡い衛星Ursa Major III:ダークマター銀河ではなくブラックホール星団の可能性
🔭 発見の背景
天の川銀河を周回する最も淡い衛星 Ursa Major III(UMa3/U1) は、これまで「ダークマターに支配された矮小銀河」と考えられてきました。しかし最新の研究により、実際にはブラックホールや中性子星の核を中心にまとまった星団である可能性が高いことが示されました。
この天体は地球から約3万光年離れ、可視光で確認できる恒星はわずか 60個。その異常な性質から長年、天文学者の間で議論が続いていました。
🌌 研究の内容と手法
- 観測データとコンピュータシミュレーションを用いて、恒星の運動や化学組成を精密に解析。
- シミュレーションの結果、暗黒物質を必要とせず、ブラックホールの密集核が残りの星々を重力的に束縛していることが示唆されました。
- これは天の川との繰り返しの重力相互作用によって外側の恒星が剥ぎ取られ、「暗黒星団(dark star cluster)」のような姿に進化した可能性が高いといいます。
✨ 重要な意義
- 「暗黒物質銀河」と思われていたものが実は通常の星団である可能性を示した初めての研究。
- 長年の天文学上の謎を解決する一歩となり、銀河形成や進化の理解に新たな視点を提供。
- Ursa Major III は矮小銀河か星団かの境界線上にある存在として、天の川の形成史や暗黒物質の性質を探る重要な手がかりになると考えられています。
📄 論文情報
- 発表日: 2025年8月7日
- 掲載誌: Astrophysical Journal Letters
- 研究機関: ドイツ・ボン大学
👉 要するに、Ursa Major III は「暗黒物質の銀河」ではなく「ブラックホールを核に持つ星団」だった可能性が高く、天の川銀河の周囲にある“幽霊のような衛星”の正体に大きな進展があった、というニュースです。