
NASA「アルテミス2」オリオン、推進剤充填を完了し次工程へ
概要
2025年8月10日(米東部)、NASAはケネディ宇宙センター(KSC)でオリオン宇宙船の推進剤充填を完了。機体は多目的ペイロード処理施設(MPPF)から緊急脱出塔の装着を行う「LASF」へ移送され、打ち上げに向けた大きな節目を迎えた。次は44フィート(約13.4m)の打ち上げ中止(LAS)システムを装備し、その後VAB(組立棟)ハイベイ3でSLSロケットへスタッキングされる予定。
打ち上げ時期とクルー
- 目標時期:最短で2026年2月、公式には“遅くとも2026年4月”の10日間月周回ミッション。
- 乗員:NASAのリード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コック、カナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセン。アポロ以来初の「月周回に向かう有人飛行」となる。
直近の進捗
- 充填と移送:MPPFでの各種システム点検・推進剤等の充填を終え、LASFへ移送。ここで緊急時にSLSから機体を引き離すLASを装着。
- スーツオン試験:7月31日、クルーが実機オリオンに搭乗して生命維持・通信系を接続、打ち上げ当日を想定した訓練を実施。8月11–12日には夜間打ち上げ想定の運用リハーサルも行われた。
これからの工程(高レベル)
- LASFでのLAS(緊急脱出塔)装着。(Space)
- VAB(ハイベイ3)へ搬入し、SLSとのスタッキング。(Space)
- 統合後の総合試験・打ち上げリハ、射点搬出へ。※公式のNLT 2026年4月を堅持しつつ、前倒し可能性を継続評価。(NASA)
プログラム上の位置づけ
- アルテミス2:オリオンに初の有人搭乗。SLS+オリオンの「有人運用」を検証する10日間の月周回テスト飛行。(NASA)
- アルテミス1(2022年):無人で月周回・帰還に成功。アルテミス3(目標:2027年)で月面有人着陸を計画。(Space)
なぜ重要か(要点)
- 安全性強化:LAS装着は「クルー救命」の最終鍵。異常時に瞬時に機体をロケットから分離する仕組みで、有人化に不可欠。(Space)
- 日程の現実味:公式はNLT 2026年4月、ただし2026年2月の前倒しを模索。工程の一つ一つ(LAS装着→スタッキング→統合試験)が前倒し可否の判断材料になる。(NASA, AmericaSpace – For space explorers)
- 長期目標へ:月周回の有人テスト成功は、月面持続活動(アルテミス3以降)や将来の火星有人探査への実行性を左右する。(NASA)
小ネタ:同時期に**オリオン・ステージ・アダプター(OSA)**など周辺要素の準備も進行しており、統合作業の“詰まり”を減らす取り組みが見える。