
初の恒星間訪問者『オウムアムア』は「エクソ・プルート」だった?
科学者たちが提唱する新しいクラスの天体
背景
2017年に発見された『オウムアムア(1I/ʻOumuamua)は、太陽系を訪れた初の恒星間天体として注目を集めました。当初は「恒星間彗星」と考えられましたが、その特異な性質から「氷惑星の破片」ではないかという新たな仮説が浮上しています。
エクソ・プルート仮説
- 主張: アリゾナ州立大学のスティーブ・デッシュらの研究によると、オウムアムアは「プルートのような氷の矮惑星の外層が削られて飛び出した破片」、つまり**“エクソ・プルート”**に由来する可能性が高い。
- 根拠:
- 窒素氷に富む化学組成(彗星によくある水氷・炭素とは異なる)
- 極端に細長い「パンケーキ型」の形状
- 他の恒星間天体(2I/ボリソフ、3I/アトラス)との明確な違い
太陽系と比較したシナリオ
- 太陽系形成初期、数千ものプルート級天体が誕生し、相互の衝突で表層の窒素氷が宇宙に放出されたと考えられる。
- ニューホライズンズ探査機による観測でも、プルート表面の大部分が窒素氷で覆われていることが確認済み。
- こうした破片の一部は太陽系外へ放出され、星間空間を漂う。オウムアムアもその一つとみられる。
オウムアムアの特徴
- サイズ: 直径約100メートル(太陽接近前)と彗星にしては小型。
- 速度: 典型的な恒星間天体に比べて遅い → 若い恒星系からの放出を示唆。
- 年齢: 約5億〜20億年前に形成されたと推定。
- 進化: 太陽系に到達した時点で質量の90%以上を失っていた。
今後の展望
- オウムアムアの発見は「こうした天体が宇宙に大量に存在する」ことを示唆。
- 今後、ヴェラ・ルービン天文台など新しい観測施設で、より多くの「エクソ・プルート破片」が発見されると予想される。
- これにより、外惑星系の氷天体の成り立ちや進化を理解する大きな手掛かりとなる可能性がある。
まとめ
『オウムアムア』は、単なる彗星ではなく**「プルート型天体の破片」=新しいクラスの天体**かもしれません。
その存在は、太陽系外の惑星形成プロセスや氷の矮惑星の普遍性を物語っており、今後の観測でさらに多くの“恒星間の訪問者”が私たちの理解を広げてくれるでしょう。