
まとめ記事:Quantum Computing Inc.(QCi)2025年第2四半期決算 ― 商業化進展と財務状況
四半期の総括
Quantum Computing Inc.(Nasdaq: QUBT)は、光フォトニクスと量子光学技術に注力する企業であり、2025年第2四半期において商業化で前進しつつも、大幅な赤字を計上した。CEO代行のYuping Huang博士は、「量子センシング、サイバーセキュリティ、AI分野で新たな顧客を獲得し、NASAとの関与も深化した」とコメントした。
財務ハイライト
- 売上高:6.1万ドル(前年同期18.3万ドル)
- 売上総利益率:43%(前年同期32%)
- 営業費用:1,020万ドル(前年同期530万ドル)
- 純損失:3,650万ドル(前年同期520万ドル)
- 損失拡大の主因は、QPhoton買収関連のワラント派生商品評価損(非現金)2,800万ドル
- 資産総額:4.26億ドル(前年末1.54億ドルから増加)
- 現金・現金同等物:3.49億ドル(前年末7,895万ドルから大幅増加)
- 第2四半期に株式私募増資で1.88億ドルを調達
- 負債総額:3,010万ドル(前年末から減少)
- 株主持分:3.96億ドル
事業進展とオペレーション
- 商業化の進展
- オランダのデルフト工科大学から**量子フォトニック振動計(QPV)**を受注。非破壊検査・構造ヘルスモニタリングに活用。
- 韓国の研究機関に初の商用量子エンタングル光子源を出荷。量子通信の市場投入を加速。
- AI・サイバーセキュリティ
- EmuCoreリザーバ計算装置を大手自動車メーカーへ販売。エッジAI用途での検証開始。
- 米大手銀行トップ5の一社から量子セキュリティソリューションを初受注(四半期後)。
- NASAとの協業
- NASAラングレー研究センター向けに最大40.6万ドルのサブ契約を獲得。
- QCiのDirac-3量子コンピュータでLIDARデータの「太陽ノイズ除去」を実施予定。
- 量子フォトニックチップ工場
- アリゾナ州テンペに量子フォトニックチップファウンドリを開設(2025年3月完成、5月開所式)。
- データ通信、テレコム、センシング、量子市場向けに量産体制を整備。
- 経営体制強化
- Yuping Huang氏が暫定CEOに就任。Chris Roberts氏がCFOに。
- COOとCROも新任、商業化フェーズに向けた体制強化。
- 株式市場での存在感拡大
- Russell 3000®・2000®指数に採用(2025年6月30日付)。機関投資家の認知度向上。
投資家への示唆
- 成長の手応え:研究機関・商業顧客からの受注やNASAとの協業は、同社技術が実用化に向かっていることを示す。
- 財務的リスク:収益規模は依然として極小で、赤字幅も拡大中。増資によって潤沢な現金を確保したが、今後の持続性は商業展開次第。
- ポジティブ材料:光フォトニクス方式は室温動作・低コストという優位性があり、市場浸透すれば大きな競争力を持つ。
👉 要するに、QCiはまだ収益化前段階にありながらも、顧客基盤の拡大・NASAとの連携・自社チップ工場の稼働といった「商業化に向けた確かな進展」を見せた四半期だった。ただし投資家は財務リスクの高さを認識しつつ長期視点で見る必要がある、という内容でした。