まとめ記事:メーン州の宇宙産業、陸上から海上へ ― 住民反発を回避する新戦略

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By arigato_team

まとめ記事:メーン州の宇宙産業、陸上から海上へ ― 住民反発を回避する新戦略

まとめ記事:メーン州の宇宙産業、陸上から海上へ ― 住民反発を回避する新戦略

メーン州で誕生したMaine Space Corporation(MSC)は、州の宇宙産業を牽引する準政府系機関。2030年までに500人、20年で5,500人の雇用創出を目標に掲げています。しかし、地元住民の反発や環境への懸念から陸上発射場の計画は難航。そのため、現在は海上発射プラットフォームを活用した小型ロケット打ち上げに活路を見出そうとしています。


陸上での反発と海上発射の可能性

  • 2021年に地元企業bluShift Aerospaceがメイン州で小型ロケットを試験打ち上げ。
  • しかし漁業や環境への影響を懸念する住民が反発し、SteubenやJonesportでロケット発射禁止条例が制定される事態に。
  • これを受けてMSCは、バージニア州のThe Spaceport Companyと提携交渉を開始。同社は2023年にメキシコ湾で米国初の海上ロケット打ち上げに成功しており、MSCはニューイングランド地域での専用利用権獲得を目指しています。

海上発射は、FAA(連邦航空局)が事前承認する指定地点までリフトボートで移動し、洋上から打ち上げを行う方式。これにより住民反対や漁業への影響を軽減できると期待されています。


メーン州の地理的優位性

  • 赤道付近からは効率的に赤道軌道へ投入できる一方、メーン州は極軌道への打ち上げに適した地理条件を持つ。
  • 北緯が高く、海岸線が東に張り出しているため、南方向に打ち上げても陸地を避けて海上経路を確保可能。
  • 極軌道衛星は地球全体をカバーできるため、気象観測や地球観測、通信分野で需要が拡大しています。

研究・産業基盤の整備

  • MSCはブルーシフトやウクライナのPromin Aerospace、米国のTeledyne Technologiesと連携。
  • 州内のブルンズウィック・ランディング施設では、振動や熱など宇宙環境を模擬できる試験設備を整備中。
  • さらにPresque IsleのJFK Aerospace Parkとも連携し、研究・開発拠点を州全体に広げる計画。

規制緩和と環境懸念

  • 米連邦航空局(FAA)が商業ロケット打ち上げを監督する一方、トランプ政権は規制緩和方針を打ち出し、州の権限を制限する大統領令を発表。
  • 一方で、MSCは独自に「国内で最も厳しい環境基準」を掲げ、環境影響評価を事前に公開する方針。
  • 環境配慮型燃料の利用や、漁業・地域産業との共存を模索しています。

今後の展望

  • 海上発射は、米国内で限られた発射場の「ボトルネック」を回避する新しい選択肢。
  • Maine Space Corporationは、州の新産業としての宇宙経済を牽引し、地域社会との調和を図りながら宇宙産業基盤を確立しようとしています。
  • 「新しい産業革命」にどう関与するか――メイン州は、地理的優位性を活かしてその答えを模索中です。

参考記事

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