
TRAPPIST-1eは生命を支えられるのか?
JWST最新観測で浮かび上がる「大気の有無」
背景
TRAPPIST-1eは、地球から約40光年先にある地球サイズの岩石型惑星。赤色矮星TRAPPIST-1を周回する7つの惑星のひとつで、「ハビタブルゾーン(ゴルディロックス帯)」に位置するため、生命探査の有力候補とされてきました。
しかし、ハビタブルゾーンにあること自体が「生命存在可能」を保証するわけではありません。生命の鍵を握るのは「大気の存在」であり、それを探るために**ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)**が観測を実施しました。
JWSTによる観測と課題
- JWSTのNIRSpec(近赤外分光器)で、惑星が恒星の前を通過する「トランジット」を観測。
- 大気があれば、特定の分子が光を吸収し、その「指紋」がスペクトルに残る。
- しかし、観測データは恒星表面の黒点などの影響を受けてしまい、大気の有無を判定するのは困難。
- チームは1年かけてデータを補正し、大気の可能性を精査しました。
現時点の結論
観測チームによると、2つのシナリオが考えられます:
- 二次大気を持つ可能性
- 窒素などの重いガスを含む大気が存在する。
- これが事実なら、生命存在条件の可能性は大きく広がる。
- 大気が存在しない裸の岩石惑星
- その場合、生命を支える条件は厳しい。
現時点では、どちらの可能性も排除できないとのことです。
今後の展望
- これまでにTRAPPIST-1eは4回の観測を実施。
- 今後は約20回のトランジット観測が予定されており、より精密なデータが期待される。
- 研究チームは「いまは、他の恒星系で生命を探るもっともエキサイティングな時代」と強調しています。
まとめ
TRAPPIST-1eは依然として「生命探査の最有力候補」のひとつですが、現時点では大気があるのかどうか結論は出ていません。今後のJWSTによる追加観測が、生命存在の可能性を左右する鍵となるでしょう。