以下は、2025年9月27日付 Harshit Gupta による記事
「Rigetti vs D-Wave: Which Quantum Computing Stock Holds More Promise?(Rigetti vs D-Wave:どちらの量子コンピュータ株に将来性があるのか)」
の要約・分析です。

🧠 概要:量子コンピューティングの「2つの道」
量子コンピューティングは、創薬から物流最適化まで幅広い産業を変革し得る次世代テクノロジーの最前線。
投資家にとっても、“兆ドル市場の土台を築く企業” に早期参入できる数少ないチャンスです。
その中でも、純粋な量子コンピューティング専業企業として注目されているのが、
- Rigetti Computing(RGTI)
- D-Wave Quantum(QBTS)
両社は同じ量子分野にいながら、技術的アプローチも商業戦略もまったく異なる方向性を歩んでいます。
📈 株価パフォーマンス(2025年初〜9月時点)
- Rigetti(RGTI):+110.3%
- D-Wave(QBTS):+213.5%
両社とも大幅上昇を見せていますが、特にD-Waveは年初来で2倍超の伸びを記録。
量子コンピュータ関連株への関心の高まりが如実に表れています。
⚙️ 技術比較:超伝導量子ビット vs 量子アニーリング
🧩 Rigetti Computing(RGTI)
- 方式:超伝導量子ビット(Superconducting Qubits)
- 構造:モジュール型「チップレット」アーキテクチャを採用
- 最新機種:Cepheus-1-36Q(4チップ構成・36量子ビット)
- 精度:二量子ビットゲートの中央値で 99.5% の忠実度(前世代Ankaa-3比で誤差半減)
この「チップレット」戦略により、Rigettiは大規模化を効率的に進められる設計を実現。
独自のファブリケーション(製造)・キャリブレーション技術を組み合わせ、
研究機から商用レベルの実用機へ移行しつつある段階にあります。
投資家にとっての注目点は、エラー率低下という「短期的かつ定量的な進歩」が明確に見える点。
🔮 D-Wave Quantum(QBTS)
- 方式:量子アニーリング(Quantum Annealing)
- 最新機種:Advantage2(第6世代アニーラー)
- 提供形態:クラウドサービス「Leap」およびオンプレ導入
- 特徴:高い量子ビット数・接続性・コヒーレンスの向上
D-Waveは「汎用量子コンピュータ」ではなく、「最適化問題に特化した専用マシン」を開発。
物流・エネルギー・製造などで実際に企業向け有償導入が進行中です。
「未来の理論的成果」ではなく、「現実の企業課題を解決」する姿勢がD-Waveの強み。
💼 ビジネス戦略比較:政府支援 vs 企業実装
項目 | Rigetti (RGTI) | D-Wave (QBTS) |
---|---|---|
収益源 | 政府・研究機関との契約 | 企業顧客による導入・サブスクリプション |
主な契約 | 米空軍研究所との 580万ドル契約(2025年9月) | ロジスティクス・製造業界で実証導入 |
強み | 技術的信頼性・政府資金による安定 | 早期の商用化・収益化が進行中 |
リスク | 契約更新依存で収益が不安定 | 短期的な成果圧力・導入コストの課題 |
Rigettiは政府支援により開発資金と技術信頼性を確保している一方で、
D-Waveは民間企業との実証導入を武器に商用収益化を急ぐ姿勢。
🚀 それぞれの成長ロードマップ
🔧 Rigettiの展望
- 2025年末までに100量子ビット超のシステムを投入予定
- 4年以内に1,000量子ビット規模へ拡張を目指す
- Quanta Computerと2.5億ドル規模の提携で量産体制を構築中
Rigettiは「普遍的・誤り耐性を持つ量子マシン」の完成を目標に、
**段階的な拡張戦略(chiplet-based scaling)**を明確にしています。
⚡ D-Waveの展望
- 第6世代マシン「Advantage2」を2025年に正式リリース
- クラウド(Leap)とオンプレ両対応で顧客拡大
- 量子アニーリング技術に加え、ゲート型量子プログラムの開発も並行
D-Waveは「即効性のある商用価値」を見せながら、
長期的には汎用量子モデルへと進化する“二段構えの戦略”を取っています。
📊 収益見通し(Zacksコンセンサス予測)
指標 | Rigetti (RGTI) |
---|---|
2025年売上 | 前年比 –19.65% 予想 |
1株当たり損失 | –$0.09(前年 –$0.36) |
予想の安定性 | 過去30日間で変動なし |
収益は依然として減少傾向ながら、損失幅が大幅に縮小しており、
効率化とコスト最適化が進んでいる兆候といえます。
🧭 投資家への示唆:短期 vs 長期の選択
- D-Wave(QBTS):
すでに商用顧客・有償利用が進行中で、短期的な実績を求める投資家に向く。 - Rigetti(RGTI):
誤り耐性型の普遍量子コンピュータを目指す長期志向。
未来の「量子優位(Quantum Advantage)」を狙う投資家向け。
両社の方向性は、
- D-Wave=「今の利益と実用性」
- Rigetti=「将来のブレークスルーとスケーラビリティ」
という対照的な構図にあります。
💡 まとめ:量子競争の“二強”
企業 | 技術方式 | 商業段階 | 投資魅力 |
---|---|---|---|
Rigetti | 超伝導量子ビット | 実験 → 開発段階 | 長期的ポテンシャル重視 |
D-Wave | 量子アニーリング | 商用導入進行中 | 即効性ある成長株 |
Rigetti=未来志向の研究型企業、
D-Wave=実用特化型の商用企業。
量子時代の幕開けにおいて、両社はいずれも異なる形で市場を牽引していく可能性があります。