「よみがえった星」サクライ天体、ウルフ・ライエ型の強力な恒星風をまとう新段階に

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By ai-taco

サクライ天体の2015年と2023年の比較画像と、アルマ望遠鏡がとらえた噴出物の電波画像
緑の円で示したサクライ天体の急な増光を2015年(左)と2023年(右)で比べた画像。中央はアルマ望遠鏡がとらえた、星の再点火後に放出された物質の画像で、その広がりは太陽系全体に匹敵するという(Credit: Stefan Kimeswenger, University of Innsbruck; Peter van Hoof, Royal Observatory Belgium)

英マンチェスター大学とブラジル・ヴァロンゴ天文台の研究チームが、欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)を用いた観測により、「よみがえった星」として知られるサクライ天体(V4334 Sgr)が進化の新たな段階に入り、ウルフ・ライエ星に特徴的な強力な恒星風をまとい始めたことを明らかにした。成果は学術誌「王立天文学会月報(MNRAS)」に掲載された。

サクライ天体は、いったん死を迎えた恒星の名残である白色矮星が、1996年に突如として輝きを取り戻した極めて珍しい天体だ。研究チームはVLTで集めた光のデータを、ウルフ・ライエ星特有の高温大気と強力な恒星風を再現する精密なコンピューターモデルと比較。その結果、炭素やヘリウムに特有のスペクトル痕跡が確認され、この星の温度や化学組成、恒星風の性質を割り出すことに成功した。解析によれば、現在の表面温度はおよそ2万7000度から3万6000度に達しており、30年前の劇的な”再燃”以来、着実に温度を上げ続けていることが裏付けられたという。

星から吹き出す恒星風はすでに太陽系ひとつ分に匹敵する広がりの領域にまで達しているとみられる。こうした「ボーン・アゲイン(born-again)」天体は、恒星が最終段階でたどる進化を人間の一生のうちに直接観測できる極めて希少な事例で、サクライ天体はもう一つの類例であるV605 Aquilaeと並び、この現象がリアルタイムで捉えられている数少ない天体の一つとされる。通常なら数千年から数百万年かかる恒星進化の理論を、実際の観測データで検証できる貴重な機会になっているという。

マンチェスター大学の発表によると、この星はもともと太陽に似た恒星で、核融合を終えて白色矮星へ向かう途中にあったが、内部深くのヘリウム層が突然再び燃え始める「超遅発熱パルス」と呼ばれる珍しい現象を起こしたとみられる。星は急に膨らんで温度を下げ、大量の物質を宇宙空間へ放出した。その後は噴出したガスと塵の厚い雲に隠れ、直接調べることが難しくなっていた。同大学ジョドレルバンク天体物理学センターのアルバート・ザイルストラ教授は、今回の測定では星の再加熱が、以前の一部のモデルが予測したよりもゆっくり進んでいることが分かったと説明し、死にゆく星が一時的によみがえる際に何が起きるのかを説明する理論を選び分ける重要な手がかりになると述べている。また今回の結果から、サクライ天体は約80年前に同様の現象を起こしたV605 Aquilaeよりも、進化の早い段階にあることも示唆されたという。

研究チームは今後もサクライ天体の追跡観測を継続し、恒星風や温度の変化が理論モデルの予測とどこまで一致するかを検証していく方針だという。

出典: phys.org「’Born-again’ star offers rare chance to watch stellar evolution in real time」(2026年9月)

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