英ノーサンブリア大学のレア・フェレレク博士らの研究チームが、太陽系を通過中の恒星間天体「3I/ATLAS」について、氷点下240度を下回るような極めて低温の環境で誕生した可能性を示す新たな観測結果を発表した。成果は学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に掲載された。3I/ATLASは2025年7月に発見された、「オウムアムア」「ボリソフ彗星」に続き3例目となる恒星間天体だ。
研究チームは、スペイン・ラパルマ島のウィリアム・ハーシェル望遠鏡に搭載された新型多天体分光器「WEAVE」を用いて3I/ATLASを観測した。分光データからは、窒素分子イオン(N2+)、一酸化炭素イオン(CO+)、二酸化炭素イオン、水イオン、炭化水素イオンという計5種類のイオン種が検出されたという。
とりわけ注目されたのが、窒素分子と一酸化炭素の存在比だ。この比率が通常の太陽系彗星に比べて著しく高いことが判明し、研究チームはこれを、3I/ATLASが氷点下240度(絶対温度でおよそ30ケルビン)を下回るような極低温の環境で形成された証拠と解釈している。恒星から遠く離れた、太陽系でいえばカイパーベルトやオールトの雲に相当するような外縁部の低温領域で誕生したとみられるという。
3I/ATLASをめぐっては、今年7月にも欧州の別の研究チームが、彗星に含まれる重水の比率から起源を探る研究成果を発表しており、そちらも低温環境での形成を示唆する結果だった。今回のWEAVEによる観測は、これとは独立した手法・データから同様の結論を補強するものとなる。研究チームは今後もさらなる分光観測を重ね、この恒星間天体がどのような星系で、どのような過程を経て形成されたのかを詳しく調べていく方針だ。
出典: Universe Today「New Revelations About the Origin of Interstellar Comet 3I/ATLAS」(2026年9月10日)