土星と天王星の軌道の間を周回する小天体「カリクロ(Chariklo)」を取り巻く2本の環について、その構造がわずか数年という短い時間スケールで変化していることを示す観測結果が発表された。成果は学術誌「Science Advances」に2026年9月9日付で掲載された。研究は仏・スペイン・アンダルシア宇宙物理学研究所(IAA-CSIC)などの国際チームが主導した。
カリクロは直径わずか250キロメートルほどの小天体で、太陽からおよそ17天文単位離れた軌道を周回している。2013年に環を持つことが発見されて以来、土星のような環を持つ小天体として注目を集めてきたが、地球からの距離が遠く環自体も非常に細いため、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)や地上の大型望遠鏡をもってしても直接撮影することはできない。そこで研究チームは、恒星の手前をカリクロが通過する際にわずかに減光する現象を捉える「恒星掩蔽(えんぺい)」という手法を用いて、環の性質を間接的に調べた。今回の解析に使われた観測は2022年10月18日にJWSTで行われたものだ。
過去の掩蔽観測データと比較した結果、内側の環「C1R」と外側の環「C2R」で、互いに正反対とも言える変化が確認された。内側の環はおよそ50%密度が増加した一方、外側の環はおよそ60%も減光しており、明るさが大きく低下していたという。これほど短期間で小天体の環にこうした変化が観測されたのは今回が初めてで、これまで比較的安定した構造だと考えられてきた小天体の環系に対する見方を見直す必要があることを示している。
研究チームは、環を構成する粒子同士の軌道共鳴が、数十年単位で環の構造を作り替えている可能性を指摘している。カリクロのような小天体がなぜ環を保持できるのか、その形成・維持メカニズムはいまだ完全には解明されていない。研究チームは今後も追加の掩蔽観測を重ね、環の変化がどのような周期やパターンをたどるのかを継続的に追跡していく方針だという。
出典: phys.org「JWST discovers that Chariklo’s invisible rings are changing」(2026年9月)