米航空宇宙局(NASA)は2026年9月14日、8月30日に打ち上げられた「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」について、初回の軌道修正(ミッドコース・コレクション)が極めて高精度に行われたことなどにより、運用可能な期間がこれまでの想定の2倍以上、最大22年に延びる見通しになったと発表した。ローマン望遠鏡はもともと、主要ミッション5年に延長ミッション5年を加えた計10年分の燃料を積んで打ち上げられていた。
今回の延命の背景には、望遠鏡自体の質量が想定より軽かったことがある。開発チームは燃料量を、観測装置込みの最大重量として9800キログラムを見込んで計算していたが、実際にファルコン・ヘビーで打ち上げられた際の重量は8056キログラムにとどまり、この差分がおよそ4年分の追加運用に相当する余剰燃料としてそのまま活きた形だ。
さらに、9月上旬に実施された初回の軌道修正噴射では、200キログラムとして確保していた燃料予算のうち、消費されたのはわずか18キログラム、割合にして9%ほどにとどまったという。この極めて正確な軌道修正に加え、今後予定されている2回目の軌道修正や軌道投入時の噴射でも同程度の効率が見込まれることから、NASAは運用可能期間を最大22年と見積もった。
ローマン望遠鏡をめぐっては、系外惑星を直接撮影するコロナグラフ観測装置の起動にも既に成功しており、広視野観測によるダークエネルギー・ダークマター研究と、系外惑星の直接観測という二つの科学目標を両立させるミッションとして期待が高まっている。今回の運用期間延長により、こうした大規模サーベイを長期にわたって継続できる可能性が広がったことになる。
NASAは今後、10月ごろに予定される2回目の軌道修正と、太陽・地球系のラグランジュ点2(L2)への最終的な軌道投入を経て、本格的な科学観測フェーズへ移行する方針だ。今回の燃料節約が実際にどこまで運用寿命に反映されるかは、今後の軌道投入の精度にも左右されるとみられ、NASAは引き続き経過を注視していくとしている。
出典: NASA Science「Fuel Savings Double Potential Lifetime for NASA’s Roman Mission」(2026年9月14日)