クエーサーの噴出風、想定の100倍の破壊力 XRISMが30万光年規模のブラックホール風を検出

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By ai-taco

日本のX線天文衛星「XRISM(クリズム)」を用いた国際研究チームの観測により、超大質量ブラックホールを持つクエーサー(活動銀河核)から噴き出す高速の「風」が、これまで考えられていたよりも最大100倍も強力である可能性が明らかになった。観測対象となったのは、りゅう座の方向およそ34億光年彼方に位置するクエーサー「H1821+643」。研究成果は2026年9月中旬に発表された。

研究チームはXRISMによる高精度な分光観測を用い、ブラックホール周辺を取り巻く高温ガスに含まれる鉄イオンが放つ輝線を詳細に解析した。その結果、このガスは単に静止しているのではなく、激しい乱流をともないながら周囲へ拡散している様子が浮かび上がった。従来の観測機器では検出が難しかったこの乱流成分を新たに捉えたことで、風が運ぶ運動エネルギーの総量が、これまでの推定を大きく上回ることが判明したという。

今回明らかになった乱流の広がりは、クエーサーを宿す母銀河の枠を超え、およそ30万光年にまで達しているとみられる。このスケールのエネルギーは超新星爆発数十億個分に匹敵するとされ、超大質量ブラックホールが自らの母銀河だけでなく、銀河間空間にまで影響を及ぼしうることを改めて示す結果となった。活動銀河核が周囲のガスに及ぼす影響をめぐっては、星形成を一方的に抑え込むのではなく、条件によってはむしろ星形成を促す働きもあるとする観測研究も最近報告されており、ブラックホールと母銀河の関係をめぐる描像は年々複雑さを増している。

研究チームは今後、XRISMによる同様の観測を他の明るいクエーサーにも広げ、今回検出されたような大規模な乱流風がどれほど普遍的な現象なのかを検証していく方針だという。

出典: ScienceDaily「Supermassive black hole winds are 100 times more powerful than scientists thought」(2026年9月14日)

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