南米チリの電波干渉計「アルマ望遠鏡(ALMA)」を用いた国際研究チームが、誕生の途上にある大質量原始連星系の姿を、8年近くにわたる観測データから三次元的に再構築することに成功したと発表した。観測対象は、地球からおよそ5500光年離れた大質量原始連星系「IRAS 07299-1651」。成果はALMA天文台などから2026年9月中旬に公表された。
研究チームはALMAに加え、米国立電波天文台の電波干渉計「VLA」による観測データ、さらにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)や欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)による赤外線観測データを組み合わせ、2つの若い原始星の運動を長期間にわたって追跡した。その結果、両者は非常に細長い楕円軌道を描きながら互いの周りを巡っていることが明らかになった。
さらに、それぞれの原始星を取り巻くガス円盤の向きが互いに大きくずれ合っている(誤配列)ことも確認された。これは、2つの星がもともと同一の円盤から一緒に生まれたのではなく、成長の過程で偶然近接遭遇し、その後に重力的に結びついた可能性を示唆しているという。近接した軌道を持つ大質量連星がどのように形成されるのかをめぐっては、これまでの理論では説明が難しい部分も多く、今回の成果は従来とは異なる新たな形成経路を具体的に示すものとして注目される。アルマ望遠鏡による恒星の詳細観測をめぐっては、ベテルギウスの内部大気に隠れた伴星の兆候をとらえた研究も報告されるなど、連星の存在が恒星の姿かたちに与える影響への関心が高まっている。
研究チームは今後も同様の長期モニタリング観測を他の若い大質量連星候補にも広げ、今回の”近接遭遇”シナリオがどこまで一般的な形成過程なのかを検証していく方針だという。
出典: ALMA Observatory「ALMA Watches a Massive Binary Assemble in Real Time」(2026年9月)