米スペースX(SpaceX)は現地時間2026年9月26日午前7時0分54秒(米太平洋夏時間、日本時間同日午後11時0分54秒)、米宇宙軍(Space Force)の極秘任務「USSF-385」を搭載したファルコン9ロケットを、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地の第4発射施設(SLC-4E)から打ち上げた。当日は基地周辺が濃霧に包まれる中での打ち上げとなったが、機体は無事に上昇し、1段目ブースター「B1100」は打ち上げからおよそ8分半後、太平洋上のドローン船「Of Course I Still Love You」への着陸に成功した。B1100にとっては今回が10回目の飛行かつ10回目の着陸成功で、過去にはNROL-95国家安全保障ミッションやスターリンク衛星の打ち上げ8回をこなしてきた実績あるブースターだ。
今回のペイロードは機密指定のため詳細は公表されていないが、米政府機関向けにスターリンクを軍事仕様化した「スターシールド(Starshield)」衛星群のうち3回目の打ち上げにあたるとみられている。スターシールドは、米国防総省・米国家偵察局(NRO)向けに、低軌道での通信・偵察能力を提供することを目的とした計画だ。従来の偵察衛星は開発に数年を要し1基あたり数十億ドル規模のコストがかかる大型機が中心で、少数の高価値資産に依存する構造ゆえに、対衛星兵器による攻撃に対して脆弱だとの指摘があった。これに対しスターシールドは、重量およそ750キログラムというコンパクトな衛星を量産ラインで大量生産し、多数機で構成する分散型のコンステレーションを構築することで、一部が攻撃を受けても機能を維持できる強靱性を狙っているとされる。
ヴァンデンバーグからの国家安全保障関連のファルコン9打ち上げとしては、今回のUSSF-385は8月15日のUSSF-366、9月10日のUSSF-153、9月17日のUSSF-259に続く4回目で、およそ43日間で4回という高頻度の打ち上げペースとなった。米宇宙軍とスペースXは、こうした頻繁な打ち上げを通じて、軌道上の偵察・通信インフラを急速に積み増している格好だ。米宇宙軍をめぐっては、州兵部隊が担ってきた宇宙関連任務の吸収など組織体制の再編も進んでおり、軌道上のインフラ整備と地上の運用体制の両面で拡張が続いている。
スペースXは今回も、機密任務であることを理由にペイロードや上段機体の展開の様子は配信せず、1段目の上昇や着陸の映像のみを公開した。ヴァンデンバーグではこの後も同様の国家安全保障ミッションが控えているとみられ、スターシールドの衛星網がどこまでの規模に拡大するのか、今後の打ち上げ動向が注目される。
出典: Spaceflight Now「SpaceX Falcon 9 to launch classified mission for U.S. Space Force from West Coast」(2026年9月25日)