オーストラリアのスウィンバーン工科大学のマルコ・モナチ氏らは、約3億1000万光年先にある天体「AGC 322753」が、星をほとんど、あるいはまったく持たない「ダークギャラクシー」の候補だとする研究を発表しました。Phys.orgが伝えています。論文は英国王立天文学会の専門誌に掲載されました。
この天体には、太陽の約20億倍の質量の中性水素ガスがあります。一方で、可視光の画像には星の光がはっきり見えません。チームは、アレシボ望遠鏡(現在は運用終了)によるALFALFA観測と、中国のFAST望遠鏡によるFASHI観測という、二つの電波カタログを突き合わせました。両者で一致した天体は13個で、位置や画像の質などを確認した結果、この天体が選び出されました。
異なる望遠鏡が異なる時期に、速度も信号の形もよく似た信号を捉えたため、電波干渉ではなく本物の天体からの信号だと考えられます。信号には二つのピークがあり、ガスが円盤状に回転している場合に見られる特徴と合っています。ただし、今の観測では円盤そのものまでは描けていません。
人工的な銀河を画像に埋め込む試験からは、星の質量の上限は、おおよそ太陽の5000万倍(モデルに依存する値)と見積もられました。この場合、水素ガスは星の質量の少なくとも40倍あることになります。この量は、星がまったくない系について現在のモデルが予想するより多いといい、研究チームは「検出できないほど星が少ないのかもしれない」と述べています。
ほかの説明として、近くの銀河から重力でガスが引き出された可能性もあります。ただ、最も近い明るい銀河とは約95万光年離れており、距離や回転の様子から、この説は考えにくいとしています。過去には、ダークギャラクシー候補とされた天体が、詳しい追観測で暗い星の集団を持つと分かった例もあります。今後は、より鮮明な電波観測で回転円盤を確かめ、さらに深い光学画像で星を探すことが課題です。
出典: Phys.org「FAST and Arecibo point to possible dark galaxy with vast hydrogen reservoir」(2026年10月26日)