NASAの探査機「ニューホライズンズ」が冥王星の「氷の山々」をとらえた映像が、2026年11月、X(旧Twitter)で「9年かけて約30億マイル(約48億キロ)を旅した探査機が撮ったショット」として紹介され、改めて注目を集めています。映像は、2015年7月14日に冥王星のそばを通過(フライバイ)した際にニューホライズンズが撮影した画像をもとにしたものとみられます。ここでは、NASAが公開している元の画像と解説から、この山々の正体を振り返ります。

NASAによると、冥王星の山々は高さが最大で約1万1000フィート(約3500メートル)に達します。山脈があるのは、冥王星のハート形の模様の左半分にあたる、窒素などの氷に覆われた滑らかな平原「スプートニク平原」の西側です。手前の山脈は、エベレストに初登頂した2人にちなんで「ノルゲイ山脈(Norgay Montes)」、地平線側の山脈は「ヒラリー山脈(Hillary Montes)」と非公式に名づけられました。

冥王星の表面の多くはメタンや窒素の氷に覆われていますが、これらは柔らかく、高い山を支えるほどの強度はありません。そのため、山々は冥王星の「岩盤」にあたる水の氷でできていると考えられています。調査チームのビル・マッキノン氏(ワシントン大学)は、冥王星ほどの低温では、水の氷は岩のようにふるまうと説明しています。
科学者を驚かせたのは、山々の「若さ」です。撮影された領域にはクレーター(天体の衝突でできたくぼみ)が見当たらず、山脈ができたのは長くても1億年前以内と推定されています。地質チームを率いたジェフ・ムーア氏(NASAエイムズ研究センター)は、太陽系でこれまでに見た中でも最も若い表面の一つだと述べました。冥王星は、木星や土星の氷の衛星のように、巨大な惑星の潮汐力(重力で天体が伸び縮みする力)で内部が温められることはないため、別の仕組みが地質活動を起こしているとみられています。
フライバイから10年以上たった今も、ニューホライズンズのデータからは新しい発見が続いています。2026年9月には、スプートニク平原の北端付近でつい最近まで液体窒素が流れた痕跡が見つかったとする研究も発表されました。「凍りついた死の世界」と思われていた冥王星は、想像以上に活発な天体なのかもしれません。
出典: NASA「The Icy Mountains of Pluto」(2015年7月15日)