オランダのライデン大学が率いる国際チームが、欧州の電波望遠鏡ネットワーク「LOFAR(低周波アレイ)」を使い、低い周波数の電波で撮ったものとしては、これまでで最も鮮明で感度の高い空の画像を作りました。オランダ天文学研究学校がPhys.orgで11月5日に伝えました。研究結果は、学術誌「アストロノミー・アンド・アストロフィジックス」への掲載が決まっており、論文はプレプリント(査読前の論文を公開するサーバー)のarXivで読むことができます。
観測したのは、北の空にある「ELAIS-N1」と呼ばれる領域で、遠くの暗い銀河がたくさん写ることで知られています。広さは満月約25個分(2.5度×2.5度)です。論文によると、115〜168メガヘルツの電波で合計200時間観測しました。データの量は400テラバイトにのぼり、画像全体は80億ピクセルあります。

今回の画像は、同じ領域をLOFARで撮った、これまでで最も感度の高い画像より20倍鮮明で、約10キロ先にある硬貨を見分けられるほどの解像度だといいます。とらえた電波源は約6万3000個(論文では6万2916個)で、巨大ブラックホールが活発に活動している銀河や、盛んに星を生み出している銀河が含まれています。論文は、1.28ギガヘルツより低い周波数では、これまでで最も深い電波画像だとしています。
電波は、可視光や赤外線をさえぎる宇宙のちり(塵)を通り抜けるため、ちりに隠れた星の誕生も見ることができます。また、画像が鮮明になったことで、重なって見えていた天体を分けられるようになり、その電波がブラックホールから噴き出す「ジェット」から出ているのか、星の誕生から出ているのかを区別しやすくなりました。共同研究者のレイナウト・ファン・ウェーレン准教授は、電波ジェットが周りの環境とどう影響し合い、宇宙の歴史の中でどう変わってきたのかを調べる新しい窓になると話しています。
研究を率いたユルイェン・デ・ヨング博士研究員によると、データ処理の手法を改良したことで、ここ数年で処理の費用は10分の1以下になりました。データはすでに公開されています。デ・ヨング氏は、オランダの電波天文研究所ASTRONが欧州のパートナーと進めているLOFARの改良版「LOFAR2.0」が、今後完成する巨大電波望遠鏡「スクエア・キロメートル・アレイ(SKA)」の時代にも十分に競争力を保てることを、今回の画像が示していると述べています。
出典: Phys.org(オランダ天文学研究学校)「Astronomers deliver the sharpest and deepest view yet of the low-frequency radio sky」(2026年11月5日)