米カリフォルニア工科大学(カルテック)のチームが開発したロボット装置「ASTRA」が、地球を回る軌道上で、宇宙飛行士の手を借りずに構造物の一部を組み立てることに成功しました。米国防高等研究計画局(DARPA)は11月5日、これを「宇宙での自動組み立ての世界初の実証」と発表しました。チームを率いるセルジオ・ペッレグリーノ教授も「宇宙で構造物が自律的に組み立てられたのは初めて」と述べています。
ASTRAは、DARPAの研究計画「NOM4D」の一環として作られた、約1立方メートルの装置です。2026年3月30日、米国カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から、スペースXの相乗り打ち上げ「トランスポーター16」で打ち上げられました。装置は、米モメンタス社の軌道輸送機「ヴィゴライド7」に、ほかの9つの荷物と一緒に載せられていました。
装置の中には、あらかじめ組み立てておいたトラス(棒を三角形に組み合わせた骨組み)の2区画と、3方向に動く腕のようなロボットがあります。ロボットは、繊維強化プラスチックの管を専用の継ぎ手でつなぎながら、薄い反射膜を広げていき、3つ目の区画を組み上げました。最終目標は、直径1.4メートルのアンテナ用の反射鏡で、トラスは11区画で完成する設計でしたが、運用時間の制約から、今回作れたのは最初の部分だけでした。任務は12月に終わる予定で、全体の完成は難しい見通しです。
大きな構造物を宇宙に運ぶには、ロケットの先端のカバー(フェアリング)に収まるよう折りたたむか、部品を運んで人が組み立てるしかありませんでした。宇宙で機械が少しずつ組み立てる方法なら、この大きさの制限を超えられます。DARPAの担当者は、将来的には「数百メートルから数キロメートル」の構造物を目指すとし、今回の実証を「終わりではなく始まり」と表現しています。
チームは今後、設計をより単純にして改良する必要があるとしています。宇宙で組み立てる大型の構造は、宇宙望遠鏡の鏡や通信用のアンテナ、宇宙で太陽光発電をするための巨大な太陽電池などへの応用が期待されています。
出典: DARPA「NOM4D program demonstrates automated in-space assembly」(2026年11月5日)