米サンタクララ大学とローレンス・バークレー国立研究所のシャオション・ホアン氏らの国際チームが、新たに70個の重力レンズを発見しました。重力レンズとは、手前にある銀河などの巨大な天体が重力で時空をゆがめ、背後にある遠い天体の光を曲げて拡大して見せる、いわば宇宙の天然の虫めがねです。NSF NOIRLab(米国立光学・赤外線天文学研究所)が発表しました。
探索の舞台は、2026年8月に公開された「DESIレガシー・イメージング・サーベイ」のデータです。約40億個の天体と5.6兆ピクセルを収めた、史上最大級の宇宙の2次元地図とされています。チリのブランコ望遠鏡、米アリゾナ州のメイオール望遠鏡、ベイジン・アリゾナ・スカイサーベイの3つの地上観測に、NASAのWISE衛星のデータを加えて作られました。
これだけの規模になると、人の目で一枚ずつ探すのは現実的ではありません。そこでチームは、残差ニューラルネットワークという画像のわずかなパターンを見分ける機械学習の手法を使い、レンズの特徴を持つ天体を探しました。AIが選んだ候補は76件で、これとは別に、以前の機械学習による探索では約3500個のレンズ候補のカタログも作られています。
候補が本物かどうかは、欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLTに搭載された分光器MUSEで確かめられました。MUSEは画像の各点ごとにスペクトルを得られる装置で、手前のレンズ天体と背後の天体、それぞれまでの距離を測れます。こうして70件が確認されました。研究論文では、両方の距離が測れて完全に確認された例は55件とされており、残りは主にレンズ側の距離のみが測定されたものです。成果は米天文学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・サプリメント』に掲載されています。
重力レンズは、初期宇宙の銀河を拡大して観察したり、目に見えない暗黒物質の分布を描き出したり、宇宙の膨張率の測定に使われたりします。確認済みのレンズは今回「DESIストロング・レンズ・ファウンドリー」計画に加わり、ハッブルやウェッブ、ローマン宇宙望遠鏡、ルービン天文台による今後の観測でも活用される見込みです。共著者のアレクサンダー・チコタ氏は、研究者が今後何年も使える、丁寧に確認されたサンプルを目指していると説明しています。
出典: Phys.org(NSF NOIRLab発表)「Largest 2D map of the universe helps scientists discover new gravitational lenses」(2026年10月8日)