チリのアルマ望遠鏡(ALMA、電波で天体を観測する大型望遠鏡群)を使った観測で、死にゆく星「IRAS 06530-0213」の周りに、星が最後に起こした大きな噴出の跡とみられる巨大なリングが見つかりました。この天体は炭素に富む双極型の前惑星状星雲で、将来は輝く惑星状星雲になると考えられています。研究はジェット推進研究所(JPL)のRaghvendra Sahai氏が主導し、論文は天文学誌The Astrophysical Journalに受理されています。
太陽ほどの質量の星の多くは、超新星爆発ではなく惑星状星雲として一生を終えます。ところが、その手前の前惑星状星雲の多くは球形ではなく、なぜ形がゆがむのかは完全には分かっていません。有力な説は、連星の相手の星との相互作用で生じた細く絞られた高速のジェットが、ゆっくりした恒星風を内側から成形する、というものです。
今回見つかった外側のリングの半径は約1万6950天文単位(1天文単位は地球と太陽の距離)です。研究チームは、星の最後の短い閃光、つまり噴出の最初の証拠だとみています。噴出の後、約2000年にわたって質量の放出率が下がり、その後ふたたび上昇したとされます。
一方、中心部には2つの葉のような星雲と、密度の高いドーナツ状のトーラスがあり、約700年前ごろに形づくられたとみられます。トーラスの炭素・酸素・窒素の比率は標準的なモデルでは説明がつかず、爆発的な核燃焼があった可能性が指摘されています。中心部とリングの間には、渦巻きのような弧状の構造も見つかり、連星の相手の星が約155〜340天文単位の距離にいることを示唆しています。
謎も残りました。前惑星状星雲では通常、秒速50キロメートル以上の高速のガスが見られますが、IRAS 06530では秒速16.5キロメートルを超えるものは検出されませんでした。星の位置に塵の円盤も見つかっていません。研究チームは、短命の円盤が一時的にジェットを出してから消えた可能性を挙げており、ジェットだけで形を説明する従来のモデルに疑問を投げかける結果になっています。
出典: Phys.org「ALMA catches a dying star mid-transformation, with a ring from its last outburst」(2026年10月12日)