オリオン座の赤色超巨星ベテルギウスを電波で調べた新しい研究が、天文学誌『アストロノミカル・ジャーナル』に掲載されました。MITヘイスタック観測所のリン・D・マシューズ氏らのチームが、米国のVLA(カール・G・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群)と、チリのALMAを使い、2021年から2026年にかけて、22GHzから485GHzまでの7つの周波数で観測しました。周波数ごとに見える層が違うため、星の表面のすぐ上から、星の半径の数倍の高さまで、大気を層ごとに調べられます。
ひとつ目の成果は、2019年末から2020年初めの「大減光」からの回復です。電波で見たベテルギウスの外側の大気の明るさ(輝度温度)は、通常に近い水準に戻っていました。半径の約2.7倍の位置で、ガスの温度は約3500Kです。
ふたつ目は、星の表面(光球)と彩層の間にあると予想されていた「温度の極小層」の確認です。星の表面に最も近い、最高周波数のALMAの観測では、約2200Kのガスが見つかりました。光球より1000度以上低い温度です。この層は、赤外線の観測から推定されていた分子ガスの殻「モルスフィア」と重なります。
みっつ目が、伴星「シワルハ」の影響です。伴星は、電波では観測にかからないほど暗いと見積もられています。そのかわり、電波で見た大気の楕円の度合いが、伴星の公転に合わせて変わっていました。伴星が見かけの上で最も離れる頃に星はより細長く、星の前後を通る頃には丸く見えます。マシューズ氏は、この伴星は星のすぐ近くを回っているため、広がった大気の中を通り抜けていると説明しています。
ただし、チームは、軌道をもっと長い期間にわたって調べ、特にまだ十分に観測できていない周波数で確認する必要があるとしています。シワルハは、約2100日というベテルギウスの明るさの周期を説明するために、2024年に存在が提案された星です。
出典: NRAO(Phys.org掲載)「Radio images reveal disturbances from Betelgeuse's mysterious companion that lurks within its shadows」(2026年10月27日)