NASAの「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」を使って、初期宇宙のこれまでにない広さと深さの画像を撮る計画が進んでいる。「ローマン極深宇宙領域(Roman eXtreme Deep Field、RXDF)」と呼ばれるこの計画は、米ミズーリ大学のハオジン・ヤン教授が率い、NASAやカリフォルニア工科大学、プリンストン大学、ハーバード大学など62機関の研究者130人が参加している。NASAが割り当てた観測時間は386時間だ。
宇宙では、遠くを見ることは過去を見ることでもある。たとえば太陽は、私たちには約8分前の姿で見えている。RXDFでは、はるか遠くの銀河の光をとらえることで、宇宙の最初の約1億年の姿を再構成する手がかりが得られると期待されている。ウェッブ望遠鏡は、予想より早く形成されたように見える銀河などを見つけており、それが例外なのか、広く見られる傾向なのかは、まだ分かっていない。
ローマンの強みは、広い視野だ。地球から約150万キロの位置を回るこの望遠鏡の広視野カメラは3億画素の赤外線カメラで、1枚の画像の範囲は、ウェッブやハッブルなら数百回の観測が必要になる広さに相当する。解像度の高さはウェッブやハッブルに匹敵する一方、はるかに広い範囲を一度に写せる。
チームが調べたいのは、最初期の銀河がどれだけ速く星を作り、大きな構造へ成長したか、初期世代の星の手がかりになる遠方の超新星(星の大爆発)、巨大ブラックホールがなぜ短期間で成長できたのか、そして、ウェッブが見つけた謎の天体「リトル・レッド・ドット」などだ。広い視野なら、こうした天体の数をより多く集められる。
ヤン教授は、過去30年の深宇宙観測で最も画期的だった成果は、当初の計画になかった発見だったと述べている。この計画の内容は、論文としてプレプリント(査読前の論文)サーバーarXivに公開されている。
出典: Phys.org(ミズーリ大学提供)「Astronomer leads global team on NASA mission to create unprecedented view of the early universe」(2026年10月16日)