欧州宇宙機関(ESA)は10月22日、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(NASA・ESA・CSA)の「今月の1枚」として、大マゼラン雲にある星形成領域「N159」の画像を公開しました。大マゼラン雲は天の川銀河の衛星銀河で、N159までの距離は約16万1000光年、画像の幅は約230光年にあたります。
ESAによると、この領域は年齢が300万年未満と若く、大マゼラン雲の中でも特に若い星形成領域のひとつで、誕生直後の段階にある数千個の星が含まれています。また、大マゼラン雲は水素やヘリウムより重い元素の割合が天の川銀河より大幅に低く、初期の宇宙での星の生まれ方に近い環境を調べる手がかりになるとされています。

画像は近赤外線カメラ「NIRCam」で撮影されました。薄いオレンジ色の厚い雲は、多環芳香族炭化水素(PAH、炭素を含む大きな分子)の発光です。淡い青色は、大質量星の紫外線で電離した水素ガスで、中央を横切る暗い赤色の筋は、領域の中で最も密度が高い冷たい分子水素です。この筋が、生まれたばかりの星を放射線や恒星風から守っています。画像左の明るい点は「パピヨン星雲」と呼ばれる電離水素の小さな塊で、大質量星の形成と関わっていると考えられており、ハッブル望遠鏡が1999年に初めて分解して撮影しました。
ESAが紹介した研究では、ウェッブが太陽の10分の1より軽い極めて暗い星を検出しました。さらに、進化が進んで高温になった星と、まだ誕生した雲の中に埋もれている若い天体を区別できたといいます。領域の西側は若い天体がより狭い範囲に集中しており、星形成の初期段階にあるとされ、領域全体で同時に星が生まれていることも分かりました。
出典: ESA「Stars brewing in a nebulous cauldron」(2026年10月22日)