米航空宇宙局(NASA)は2026年9月中旬、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測で、地球からおよそ1000光年、ペルセウス座の方向に位置する星形成領域「IC 348」において、これまでに確認された中で最小級となる褐色矮星を発見したと発表した。成果は、ウェッブがこれまでに公開した中でも最大級の一枚となる広大なパノラマ画像とともに公表された。
褐色矮星は、恒星になるには質量が足りず、かといって惑星と呼ぶには大きすぎる中間的な天体だ。研究チームは2022年にも同じIC 348領域をウェッブで観測し、木星の3〜4倍程度の質量を持つ褐色矮星を発見していたが、今回はさらに小さな天体を探すため、2024年に近赤外線カメラ「NIRCam」で若い褐色矮星や誕生したばかりの恒星が放つ淡い光を捉え、色と明るさから候補天体を絞り込んだ。続く2025年には近赤外線分光器「NIRSpec」による追加観測を実施し、候補天体の質量を精密に見積もった結果、木星のわずか2倍程度という、これまでで最も軽い褐色矮星の存在が確認されたという。
こうした極めて軽い褐色矮星がどのように形成されるのかは、星や惑星質量天体の誕生プロセスを理解するうえで新たな手がかりであると同時に、理論上の課題でもある。通常の恒星形成では、分子雲の重力収縮によって一定以上の質量が集まる必要があるとされるが、木星のわずか数倍という軽さの天体がガス雲の中でどう生まれ得るのかは、既存のモデルだけでは十分に説明しきれない部分が残っているという。ウェッブとハッブルのデータを組み合わせて“ブラックアイ銀河”M64の内部構造を解き明かした研究成果と同様に、ウェッブの近赤外線観測は今回も、可視光だけでは見えなかった若い天体の姿を浮かび上がらせる原動力となった。
研究チームは今後も同様の手法でIC 348や他の星形成領域を観測し、褐色矮星の質量分布の下限がどこまで及ぶのか、さらなる探索を進めていく方針だという。
出典: NASA Science「NASA’s Webb Reveals Dynamic Panorama of Star Formation」(2026年9月)