ガイア、恒星を伴う「静かなブラックホール」3例を発見 近すぎる伴星の軌道が形成理論に謎

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By ai-taco

欧州宇宙機関(ESA)の位置天文衛星「ガイア(Gaia)」による観測データから、天の川銀河内で恒星を伴いながらも物質を積極的に飲み込んでいない「静かな」恒星質量ブラックホールが、これまでに3例確認されていることが改めて注目を集めている。恒星質量ブラックホールの多くは単独で銀河内を漂うか、伴星から物質を奪い取ることなく静かに周回しているとみられ、ガイアは10億個以上の恒星の位置と運動を精密に追跡する中で、伴星のわずかな「ふらつき」からこれらのブラックホールの存在を割り出した。

今回とくに注目されているのは、3例のうち「BH1」と「BH2」と呼ばれる2つのブラックホールだ。いずれも太陽の約9倍の質量を持ちながら、伴星との軌道が従来の連星進化モデルで想定される距離よりもかなり近いことが分かっている。標準的な理論では、ブラックホールのもとになった巨大な星が膨張する過程で、これほど近い軌道にある伴星は飲み込まれてしまうはずで、生き残っていること自体が理論上の矛盾となっていた。

この謎に対し、アレクサンドラ・オレヤック氏らの研究チームは学術誌「The Astrophysical Journal」に発表した最新の研究で、「非保存的質量輸送」と呼ばれる過程、とくに伴星が自身の重力の及ぶ範囲(ロッシュローブ)を超えて膨張し、外層のガスの一部がブラックホール側の伴星へ流れ込む「ロッシュローブオーバーフロー」という仕組みが、近接軌道の伴星が生き延びる鍵になった可能性を指摘している。この過程で角運動量や質量の受け渡し方が従来の想定と異なっていれば、伴星が飲み込まれずに軌道を保てるという。

一方、3例目の「BH3」は太陽の約33倍という天の川銀河で確認された恒星質量ブラックホールとしては最大級の質量を持ちながら、伴星とは十分に離れた広い軌道を描いており、標準的な連星進化モデルでおおむね説明がつくケースとされている。同じガイア由来の発見でありながら、形成過程が大きく異なるとみられる点も研究者の関心を集めている。

研究チームは、ガイアが今後追加で公開する観測データによって、こうした「静かなブラックホール」がさらに発見される可能性が高いとみている。単独星のブラックホールでは知ることが難しい質量やスピン、伴星との相互作用の詳細を明らかにできる貴重な天体として、今後も継続的な追跡観測が計画されている。

出典: phys.org「Quiet black holes with a stellar companion raise questions about how they form」(2026年9月8日)

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